PLAYNOTE 『日本語を読む』終演

2010年05月10日

『日本語を読む』終演

[公演活動] 2010/05/10 07:43

たった2ステしかないのが残念で仕方ないんですけど!『日本語を読む - 熱帯樹』初日あけて - PLAYNOTEに書けなかったことをちらちら書く振り返り。時間ないから急ぎ足で。

まずはご来場頂いたたくさんの方々、どうもありがとうございました。今回僕、メールとか電話でお誘いしてないんですよ。あんまりにも忙しくって、ブログで告知したり人に用事のついででメールに書いたり、会った人にフライヤー渡したりはしたけれど。だけど、連日満席、大盛況でして、それはもちろん三島ファン、俳優ファン、そもそもこの『日本語を読む』企画のファンなど色々あってのことなんだけれど、本当よく来て下さった。

殊勝なことを書くようですが、今回は人が来てくれて過去一番うれしい公演だったように思います。

稽古について

ベテラン俳優勢がとにかく怪物ぞろいで恐ろしかったです。みんな準備量が半端じゃない。「これ何て読むんですか?」みたいなアホな質問は当然1つもないし、素読みで150分かかる長編戯曲なのにきちんと読みこなして自分のキャラクター像を確立してから稽古に望んでいる。おまけにキャリアに裏打ちされた「武器」をいろいろ持っていて、待機中、椅子に「ぼへー」っと座っているだけに見えた人が、立ち上がった瞬間急にオンになり、信じられないオーラを放ったりする。

僕は小劇場の人間なので、どうしても小劇場の俳優の錬度と比較してしまう。今回の座組の中で比較的若い方、30代男性、20代女性がいたけれど、その2人にしたって礼儀挨拶がきちんとしているのは勿論、あぁきっといろんなしごかれ方をして今ここにいるんだな、というのがわかる技量やら引き出しやらをきちんと持っているし、そもそも三島由紀夫のああいう濃厚な文体に、ひるまない。台詞を「読む」「語る」ということがきちんとできる。練度が違う、と思った。ああこりゃかなわねぇや、と。小劇場でちまちまやってる場合じゃねーぞ、と。

久世さん松浦さんらなんかとは稽古中に役や場面についてあれこれお話させてもらったけれど、いい俳優はいい読み手であるのだということを改めて実感。バカに俳優はできない、とずっと言ってきた僕だけれど、彼女たちはセクシーでクレバーで情熱的で、だからこそ生き残っていらっしゃるのだろう。吉見さんは多くを語らず僕が何か言うと「はっはっは」と笑っていることが多かったが(笑)、ちょっと突っ込んでお話聞いてみると研究と創意工夫に年季の入った熱意を感じる。

こういう人たちと仕事をせねばならんのだ、と思うと、事前準備もきちんとやったが、あらためてヒヨッコな自分を認識する。こうして若手演出家代表として選ばれてヤッホーとか最初は思ったが、それはもうハイ次の階段頑張って登ってねー、ってことでしかないんだから、風邪とかひいてる場合じゃない。

三島について

書き出すと午前中つぶれるので書きません。

演出について

本当はもっといろいろやりたかった! んだけれど、稽古が3回、だけどテキストは150分超え。随分、シェイプアップしました。それでも柴くんや中屋敷くんに比べれば手数は多かったけれど、まだまだやりたい。ただ、結果的には削ぎ落したおかげで大事なとこだけ残った感じがして、正解ではあった。この辺に至る経緯には、出演者らとの相談や、世田パブの人々からのアドバイスにも随分助けられました。

今回のキモはとにかく「距離感」でした。こういう淫靡で背徳的な香りのする戯曲なので、例えば椅子を5つ並べて、ずっと同じ距離感で読む、ということに耐えられず、今回のように立ち位置をとって、重要な箇所で近づく、離れる、という移動と距離感にフォーカスして作った。

一番わかりやすかったのが、律子ママと勇にーちゃんの2人が話すシーン。それまで庭とか天気の雑談しとって、長い間、そこで久世さんas律子ママがぐっと石母田さんas勇にーちゃんに近づく。最大距離で離れていた2人が、最至近距離にまで近づく。ゆっくりと。近づいた後は、母は息子に「あなた私の下着の匂い、かいでたでしょう」と、とんでもない打ち明け話を始める。距離感というものが、どれだけ人間の想像力や情欲をくすぐるものか。この辺は昨年やった『心が目を覚ます瞬間』での実験結果の反映です。

松浦さんがやっとった信子おばさんの解釈についてもあれこれこだわって、その結果ト書きも読んでもらうということになったんだけれど、ここはもっともっと突っ込んだ演出をしたいところでもあった。彼女以外の4人が、家族内で生のゲーム、生の争いを繰り返している最中、信子だけは一人「終わってしまった女」として傍観者であり続け、終わるとさっさと出ていっちゃう。あぁ、彼女はつまり目撃者であり観察者なのだなぁ、ある意味彼女の存在が一番不気味だよこの家族。最初はト書き以外にもあれこれ特殊なことを考えていたのだけれど、もうそこまでやるとリーディングじゃなくて演劇になってしまうので、やめた。松浦さんとは結構お話できたので、残りは彼女に埋めてもらうことにして。

初日のアフタートークで「演出意図は、とにかくえっちにしたかった」と発言して客席の爆笑をとったのが、個人的には一番いい仕事したなって瞬間でした。ぺろり。

以下感想など。

5/6 朝集計

日本語を読む その3~ドラマ・リーディング形式による上演~『熱帯樹』 | 世田谷パブリックシアター [観てきた!] ★CoRich 舞台芸術!

奇をてらわず、三島戯曲の持つリズム感を大事にしてリーディング公演らしく聴覚に訴える演出だ。その結果、クラシックのコンサートのような華麗で荘厳な作品に仕上がった。
速報!シアタートラム 『 日本語を読む 』 その3 | CoRich手塚の『小劇場応援ブログ!』 - CoRichブログ

トラムで谷賢一演出の日本語を読むを観た。三島戯曲に真っ向から挑んだストレートな演出。リーディングなのに大作の趣き。
Twitter / 手塚宏二_CoRich舞台芸術!

熱帯樹。とても濃密な2時間半。三島の世界を堪能しました。鮮やかに情景や人物が浮かび温度や湿度まで体感した気がしています。言葉の威力を最大限に引き出す谷さんのセンスは流石!
Twitter / shuko itakura

トラムで「日本語を読む」の『熱帯樹』観劇。確かに長いんだけど、谷さんの演出の「潔さ」が勝因だったように思う。空間の美的感覚、ミザンス、休憩の入れ方、もろもろ演出家のらしさが生きていた。あと、宝塚時代からファンだった久世さんに圧倒された。怪演にうっとり。
Twitter / 吉田小夏-Conatsu Yoshida

日本語を読む「ポンコツ車と五人の紳士」稽古最終日おしまい。そのまま谷さん演出の「熱帯樹」を観劇した。しっかりしてた…。持病の不安に襲われたけど、きっとなんとかなるわい。明日19時からシアタートラムで本番ですー。高校生以下は500円!
Twitter / 柴幸男

「日本語を読む」@シアタートラム。今日は三島由紀夫の「熱帯樹」。女って恐っ!女優さんお二方大熱演ですリーディングですが。そういえば女優陣が見事だった去年のリチャード三世も久世さんでしたか。全3プログラム観ても3000円。また来たい。この値段くらいならパルコのも観たのになあ。
Twitter / たまぞう

シアタートラムの「日本語を読む ー熱帯樹」、エッチで濃厚で良かった!演出は谷賢一さん。リーディングで二時間半(休憩あり)という長丁場だけど、千円で三島由紀夫戯曲をたっぷり味わえるいい機会。キャストも豪華です。残すは週末の1ステージ。
Twitter / 高野しのぶ

@トラムより帰宅。明日会社に行きたくない病、一気に悪化。「熱帯樹」、きりっとわかりやすかった。 役者も観る側に負荷を一切かけないだけのうまさがあって。松浦さんの声にやられる。ただ、不徳の至りで、三島先生の作品にもかかわらず、物語のプロットから大映ドラマが浮かんでしまった。
Twitter / りいちろ

「熱帯樹」リーディングってことで、触れないことの方がかえって官能的。あと俳優力。作品内容的には「火の顔」思い出した。
Twitter / 川口聡

シアタートラムで三島由紀夫作、熱帯樹の朗読劇を聞いた帰りなう。三島の変態っぷりを苦い顔をしつつ堪能してきた。三島小説はそのむせかえるような変態っぷりに耐えきれず毎回挫折するが戯曲は面白と思う。不思議。
Twitter / 黒田 MIZ

5/10 朝集計

世田谷パブリックシアターの「日本語を読む その3」は、どれも面白かった。私の見た順番は、『老花夜想(ノクターン)』(太田省吾作、中屋敷法仁演出)、『熱帯樹』(三島由紀夫作、谷賢一演出)、『ポンコツ車と五人の紳士』(別役実作、柴幸男演出)。全員が1980年代生まれの演出家である。
Twitter / バードランド

日本語を読む『熱帯樹』 濃密な劇空間に美しい日本語。三島戯曲をストレートに魅せた谷賢一の潔さ。こうせざるを得ないと思った反面、少しポップさも味わいたかったかも。
Twitter / こまごめとなり

日本語を読む『熱帯樹』観劇。三島戯曲を堪能した。久世星佳さんはやはり素敵です。
Twitter / 武藤博伸

熱帯樹、聞いていると自分が彼らの発することばの意味を理解出来るのが不思議な気分になってくるというか、耳にしているものが何語なのかわからなくなってくるというか、奇妙な感覚だった。あとむらむらした。
Twitter / yukk

シアタートラムで『熱帯樹』観劇。三島由紀夫の化け物みたいな戯曲の構造が、"演じない"リーディングによってくっきり立ち上がっていた。ベテラン揃いの俳優さんたちが人生かけて訓練してきた身体と声を堪能できました
Twitter / makiko_o

宝塚以来の久世星佳がとても女性らしくて驚きました。/三島由起夫の世界・思考が天才的、あらためて作品を読みたくなりました。/そして昭和初期の日本語の美しさをなんとか取り戻せないものかと、つくづく思いました。
日本語を読む その3『熱帯樹』 | taille36 たかみのワードローブ・美学・生き方、ときにはコーディネイト

三島作品、苦手なんですが、初めておもしろいと思った。視覚に訴えるものがない分、情景とか自分のイメージで広がったし。でも、腰は痛いけど(笑)。
れいのこころ模様~徒然なるままに 熱帯樹

その点、この『熱帯樹』は動きが邪魔になることなく、むしろ少ない動きを効果的にキメていたのが印象に残った。リーディングの背骨を「言葉」と「戯曲」に持ってくるのは、きっと簡単そうで一番難しい事だ。
びょうびょうほえる : 『日本語を読む その3』

意外なほどシンプルで、自分のカラーを前面に出さない作りであることを好ましく思った。リーディングだからこそいろいろな手法があり、ト書き読みひとつとっても演出家の個性や戯曲の解釈をみせることができる。しかし谷賢一は実に辛抱強く『熱帯樹』に取り組んでいる印象があり、謎めいて理解しにくい家族の世界と、俳優の実力が堅実に示される舞台になった。
因幡屋ぶろぐ: 日本語を読む その3『熱帯樹』

はい、大変勉強になりました。みんな言うじゃん。「今回の公演は、参加できて本当に勉強になりました」とかさ。いや僕は今回本当に勉強になった。勉強しないと食い殺されたり置き去りにされたりするんだな、ということを、勉強しました。

全日程終了後、俺、中屋敷くん、柴くん、それに劇場の矢作さんらと軽く打ち上げ。裏アフタートークとして妙な盛況。いろいろお話したかった人々だったので、短い時間ではあったけど楽しかったな。短い、っつっても3時間くらいは話していたんだけれど。中屋敷・柴の両名は、去年俺がトラムでtoiを観た時から、同世代で最大の敵はこいつら2人だ、と思っていて、まさにドンピシャリでその2人と一緒にやれたんだが、2人とも考えていること、見ている先のスパンが長くて、本当にうかうかしているとますます水を開けられる一方だ、とひやひやしたりもしつつ。だがビールはうまい。

よっしゃ。今日からはジェットラグです。始まった瞬間から追い込みです。頑張るにゃー