PLAYNOTE 新しい街

2010年05月10日

新しい街

[雑記・メモ] 2010/05/10 07:13

新しい街につくと、いつでもわくわくする。今回は、そうだ、出会った人にきちんと挨拶をしよう。今回は、そうだ、夜はたっぷり眠るために柔らかいシーツを買おう。今回は、そうだ、ご飯はあんまり食べ過ぎず、だけどきちんとおいしいものをちょっとずつ食べよう。

知らない顔が大勢あって、戸惑う。あら、あちらにはキツネの奥さん。おや、そちらにはにゃんこ先生。わぁ、あそこには、おしゃれなリスのお嬢さん。誰も彼もがきっと人畜無害なベジタリアンなんかじゃなくて、脛に傷持ち人殺しの経験の1つや2つあるような人たちなんだろうけど、そんなことは知らないままに、ぶらぶらと街を歩く。

あなたの旅は始まったばかりです。はい、その通り。いつかこの街を出て行く日がないとも限らない。だけど、僕はいっぺんにこの街が気に入ってしまった。まだどこに宿をとっていいのかもわからずに、ホテルに泊まったり公園で寝たり眠らず一晩歩き通したり、全く以て定まらぬ漂泊の最中だけれど、ちょうどぴったり自分の体がフィットする、いい場所が見つかるんだろう。そのうちさ。

ふさふさ生い茂る芝生に寝転び、つやつやと流れる小川に指を浸してみる。オレンジ色の風が吹いてきて、汗ばんだ僕のシャツをはためかす。きちんと声に出して、一つ一つにありがとうを伝える。ひゃあ、何て恥ずかしい、どんな恥知らずのジェントルマンだね君は、そんな照れ隠しの自意識を忘れてしまえるように、ゆっくりとこの街を観ることに集中しなくちゃ。

僕の仕事は、朝になったらこの街を出て行って、近所の森で捕まえた動物の腹わたを割いたり腕やヒゲをちょんぎったりして、それをケースにピンで止めることだ。この街では一体何匹の動物が集められるかしら。血のついたシャツを洗うのに、この街の泉は、枯れてしまわないかしら。この街は一体全体どこにあるんだろう? いつの間にか来てしまったからよくわからない。

欲しいものはたくさんあるんだ。

* * *

朝起きていきなり矢野顕子を聴くと、そういう気分になっても仕方がない。