PLAYNOTE 谷賢一演出/三島由紀夫脚本『日本語を読む その3 「熱帯樹」』

2010年04月27日

谷賢一演出/三島由紀夫脚本『日本語を読む その3 「熱帯樹」』

[公演活動] 2010/04/27 10:19
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チラシ

若手で生きのいい演出家を3人招いてベテラン俳優と組ませて、ちょっと昔の日本語戯曲をリーディングで再評価、っていう企画。光栄にもお招き頂きまして、ゴールデンウィークの三軒茶屋で、やります、濃厚かつ背徳的で「三島由紀夫死ね」って思うようなリーディング。ずっと尊敬しておった俳優さんとご一緒できるのでワクワクしております。

日本語を読む その3『熱帯樹』

日時: 5月5日(水・祝) 19時~、5月8日(土) 14時~
会場: シアタートラム(三軒茶屋)
料金: 1,000円(←安い)、U24((24歳以下)は500円(←バカ安い)

[作] 三島由紀夫 [演出] 谷賢一(DULL-COLORED POP)
[出演] 石母田史朗/久世星佳/中村美貴/松浦佐知子/吉見一豊

※別プログラムにて、柴幸男演出『ポンコツ車と五人の紳士』、中屋敷法仁演出『老花夜想』も上演されます。詳しくは
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2010/05/3_1.html

以下雑感だ。

三島由紀夫と私。ガキの頃、『金閣寺』とか『仮面の告白』とか『潮騒』とか読んで、ぶっ飛んだのを覚えている。文章うますぎ。この人の『文章読本』も読んだけど、美学の塊のような人で、正直「気持ち悪い」と思ったくらいだ。

以降、変なタイミングで俺の人生に出てくる。『家畜人ヤプー』っていうキチガイ・ドM小説があるらしい、と聞いて読んでみれば、解説で「三島由紀夫が激賞」とか出てきたり、澁澤龍彦やらマルキ・ド・サドやら変態紳士のことを調べていれば必ず名前出てくるし、僕が知り合った俳優さんの中でもとびぬけてチャーミングでありながら腹の底は恐らく狂女でありだが優しい先輩である=破綻した個性が全開の久保亜津子さんは三島に心酔しており十年以上三島の上演を続けていたり。

『ブランヴィリエ公爵夫人』を書いたときには、三島の戯曲を随分読んで、参考にしたりもしました。今も延々と書き続けている10月のTheatre Polyphonic用の本にも、随分参考にしています。

僕の中では、だから、三島は分裂した才能がぶつかり合っている、すごく混沌とした神さまです。おそらく知性や文章力という点においてはぶっちぎり昭和ナンバーワンじゃないかしら。かと言って「上手いだけ」とも違っていて、そのツールとしての文章を使って描いていることがあまりにも濃密、あまりにも変態的なので、妙なバランスにくらくらする。

三島は悪魔の鏡とでも言うべき作家である。彼は、ふだん抑圧されている性的なドロドロや、論理的には説明できない暴力衝動、脱輪しかけた人間の精神なんかを、もやもやポエミーに書くのではなくて、恐ろしく丁寧かつ細微な筆致で克明に浮き彫りにしてくる。だもんだから、読んでいるこっちが引っ張られて、一瞬アブナイ気持ちにクラクラしてしまう。

『熱帯樹』は一言で言えば近親相姦と近親憎悪の話なんだが、もうほとんどギリシャ悲劇だろそれはっていうような逸脱した人間たちが出てきて、だけどよーく考えてみると「ちょっとわかる」みたいなとこもあったりするからヤバイ。劇中、ママのパンツをタンスから引っ張り出してクンカクンカする長男、なんて描写が出てきてドン引きするんだが、ドン引きする俺=社会的な俺、であり、わからんでもない俺=抑圧された俺、であり、ええい、面倒だ、断言するけど、俺はママのパンツをクンカクンカしたことはないけれど、小学生になっても一緒に寝たりすると寝ぼけたフリしておっぱい触ったりしていた記憶がある。俺がすっごく背伸びして書けるのがせいぜい「おっぱい触ったことがある」なのに、三島は遠慮なしにパンツをクンカクンカする。あ、クンカクンカってのは、匂いを嗅ぐっていうことなんだけれど。

同作に出てくる「信子」ってキャラが面白い。死んじまった旦那の影を引きずりながら、一人で輪廻の輪の外に出ちまったような女で、こいつは元夢の遊眠社の松浦佐知子さんにお願いしているんだけれど、不気味な存在感のあるキャラクターになりそうです。

「律子」もキレてる。高校生くらいの子どもがいるような年齢なのに、家の中でも艶やかな着物を着て、「私は蝶になりたい、蝶でいたいの」なんて抜け抜けと言っちゃうような色ボケ女なんだが、女はやっぱり死ぬまで女、だから無碍に「いねーよ」とも言い切れない。デフォルメなのかな、一種の。元宝塚トップで、かつ俺にとっては『欲望という名の電車』のステラで記憶にこびりついてる久世星佳さんがおやりになるので、いい女になるだろう。

実際の演出については、一応プランは立てたけど、現場の稽古で随分変える予定。実は今日が初稽古なんだ。声に出して読む三島、お楽しみにどうぞ。

ご予約はこちらからどうぞ。1,000円だからさ。
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2010/05/3_1.html

コメント

投稿者:G (2010年04月27日 22:18)

へぇ~~。
久世星佳さん、宝塚のビデオは見たことあるな。
ダンスが抜群にうまい人だったんだ。
まさかな~~、その人を谷くんが演出に掛けるとは思わなかったな~。
世の中面白いもんだ。
5日にトークすんでしょ? 見に行くよ。楽しみにしてる。

投稿者:Kenichi Tani (2010年04月28日 08:07)

会ったら抜群にオーラがあった。
美しかったがON/OFFの切り替えが凄まじく怪物のようであった。
とか書くと色々問題あるか。褒め言葉です。