PLAYNOTE いくら煙草を吸っても

2010年01月21日

いくら煙草を吸っても

[雑記・メモ] 2010/01/21 03:53

いくら煙草を吸っても満たされないのはわかっているんだぜ。

いくら煙草を吸っても満たされないのはわかっている。いくら酒を煽っても潤わないのはわかっている。いくら女を抱いても安らがないのもわかっている。いくらジョークを重ねても笑えないのはわかっている。いくら駄文を連ねても明日には忘れているってのだってわかっている。

いくら「ハーイ、チャーン!」

だからどうしても、眠る前には、寝るのがもったいねぇなと思ってしまう。もう1本煙草を吸ったら、もう1杯酒を飲んだら、何か違う世界のきらめきが見えるような気がする。明日の使命とか明後日の希望とかどうでもいい感じになる。一瞬一瞬を大事に生きる、なんていうとちょっと大袈裟で外れてしまうけれど、どうせなら大きく嗤って一日を終えたい。

今日は「幸せの歌をうたう犬ども」稽古。笑いの絶えない愉快な稽古場であったが、僕の心はやはり満たされないものだ。それが稽古場笑いであるということにもうとっくの前に気づいている。感動だとか構成の巧みさだとかを見せるのは意外と定石を踏めば、…簡単とは言わないけれど確実だけれど、笑いだけは水物である。そして同時に、笑いというものは、最大公約数が増えれば増えるほど、陳腐化しつまらなくなるものでもなる。

俺はできれば、誰も笑わない台詞に笑う犬でありたいし、誰も笑わないような台詞に笑うお客さんを大いに満足させる芝居が作りたいと思っている。涙は大抵やさしいものだが、笑いというのはいつだって残酷だ。

なんて笑いについてのことを書くとギャグ芝居なのと思われそうだが、いえいえどうして、今回の芝居は永遠の命題に挑んでいるのです。テーマなんかどうでもいいけど、僕は少なくとも、幸せというものの意味について、考えて書きました。

そして同時にまた気がつくのです。もう書くべきことなんか一つも残されていないということに。俺が思いつくような大抵のことは、ジョンやジョージやジャニスやディランやジム・モリスンやルイ・アームストロングや浅井健一やマイケル・ジャクソンや向井秀徳や、芥川龍之介や夏目漱石やヘッセやカフカやモーパッサンやトールキンや、あるいは過去の俺自身がすでに言っちゃったことばかりだということに。じゃ何やってんのお前? そんなに時間かけて何作ってんのお前? と問われれば、それはもう、「俺が面白いと思うもの」としか答えられない。そんでもって、俺が面白いと思うものは、大抵、そんじょそこらにゃありふれてないものなので、その選択はいつも正しい。

嗣ぎに書く戯曲、と言うか、半年前くらいから構想し続けている戯曲も、やはりテーマは愛と幸福のようです。ブッダもキリストもムハンマドも、ずっとそこんとこ考えてたみたいだから、別に恥ずかしいとは思わないけれど、答えはもうわかってんのに、延々考え続けるところが、人間が永遠に不幸な理由の一つなんだと思うんだな。

要は、我々は、我々が手にしているものの価値に、永遠に気がつくことができない、ということだ。永遠に、そしてどう努力しても、そしてどう知恵を絞っても、絶対にその価値にはわからない。その価値に気づかない限り、我々は永遠にミステイクをし続け、アンハッピーの濁流に呑み込まれていく。

わかっちゃいるんだが、わかっちゃいるんだが、今俺にできることと言えば、Another glass of wineをあおって、眠ることだけなんだな。俺は世界最低の男だが、世界中の人々が俺のことを愛し賞賛し足を舐めてくれますように。

コメント

投稿者:クリニカ (2010年01月21日 13:07)

神様がみてるから大丈夫だよ。

投稿者:shuko-i (2010年01月21日 14:34)

手にしている物の価値に永遠に気付かない。そして永遠にミステイクし続ける。ほんとですね。。書くべきことなんてもう一つもないのかもしれない、言い尽くされたことばかりかもしれないけど、谷さんに書いて欲しいです!谷さんを通した世界を感じたいです。谷さんの文章には、心にぐっと入り込むような感性の煌めきを感じます。ブログもツイッターも愛読してます。きっと芥川賞とるんだろうなと、活躍に期待してます!

投稿者:Kenichi Tani (2010年01月21日 15:29)

>クリニカ
ジャムあげるからおとなしくしてなさい。

>shuko-i
はい、いずれ芥川賞を取ります。今年は該当なしでしたね。。。
なかなかどうして楽じゃない毎日ですが、書くことだけは楽しんで、かつ誠実にやりたいものです。気を引き締めないと。

ではではまたぜひコメントくらさい。