PLAYNOTE 池袋のマックに気違いがいた

2010年01月20日

池袋のマックに気違いがいた

[雑記・メモ] 2010/01/20 16:12

今日は小劇場批評メールマガジン・ワンダーランド主催の月例勉強会で、ピーチャム・カンパニーの清末さんが安部公房の演劇について濃密に一時間四十五分語り続けるのを黙々と聴いて、あぁ勉強になるなぁ、それにこうやって自分に遠い話題を聴いてると意外と着想が沸くもんだなぁ、などと盗撮および剽窃の楽しみを味わった後、稽古までの間に仕事しようとマックにやって来た俺なんだ。レジ係の浜津さん(仮名)がえらいべっぴんさんで、こういう空と心の天気がいい日には美人を見て愉しめるものだ、うん、浜津さん美人だから見栄はってテキサスバーガーのセット(740円)を頼もうかしら、いやでもパソコン叩くだけだしコーヒーでいいや、なんて考えながら、浜津さんのぷっくりした下唇をじっと視姦していたんだ。

そしたら俺の後ろに並んでた奴が気違いで、浜津さんに電波情報を喋り出したんだよ。

キ印さん「あの、このピーピー鳴ってるの、止めてくれませんか?」
浜津さん「え?」

浜津さんは顔を前にひょこっと出して、いわゆる「鳩が豆鉄砲食ったような」顔をして「え?」って言ったんだ。芝居がかったリアクションってこういうこと言うんだよな。

もちろんピーピーなんか鳴ってない。しかもキ印は水だけ注文していて、どうしようもない感じだ。柔らかそうな茶色のセーターを着ていて、ふちの太いセルメガネをかけていた。俺は、「やった、気違い一人ゲットだぜ」と内心欣喜雀躍していたが、浜津さんは困惑している。

「いやこの、ピーピー鳴ってるじゃないですか。うるさいので、止めて欲しいんですけど」
「鳴ってますか?」

浜津さん、キ印にマジレスしちゃダメだよ、らちがあかないよ。でも彼女はきっと上京したての静岡娘で、気違いと会話を楽しんだ経験なんかないだろうから、それも致し方がない。

浜津さんは店長を呼んでどうにかしようとしていた。俺は気違いさんに話し掛けようかと思って随分悩んだが、やめておいた。

こういう記事を書くと「精神障害者を馬鹿にしている」と言われそうだが、彼は恐らく器質的な原因による統合失調症、幻聴が見られることからもガチで発症していて、それもたぶん年の頃から言って破瓜型だろうから、彼に全く非はないんだ。別に大した迷惑かけてないし。ただ、彼に必要なのは優しい無視じゃなくて早期の入院治療、しかもカウンセリングとか作業療法じゃなくて投薬なんだから、誰か身近な人が、「早く病院行こうぜ」って言って連れて行ってあげるべきだと思うんだ。

彼に家族がいるのなら、なんでそいつらは彼を病院に連れて行ってあげないんだろう、って思った。治るかもしれないのに。

治ることが彼にとって幸福かどうかわからない、なんて偽善ぶったことは言わないぜ。妄想に逃げ込めばハッピーなんてことはないんだ。妄想の中ですら彼らは苦しんでいるんだから、早く開放してやりたいものだ。

浜津さんは池袋東口のマックで働いています。