PLAYNOTE 損保ジャパン東郷青児美術館『ベルギー王立美術館コレクション』

2009年11月29日

損保ジャパン東郷青児美術館『ベルギー王立美術館コレクション』

[映画・美術など] 2009/11/29 12:34
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ピエール・ボナール作『逆光の裸婦』

「ベルギー王立美術館のコレクションから、ベルギーならびにフランスの画家による油彩画約70点を展示し、19世紀におけるベルギー絵画のあゆみをご紹介」するという展覧会。コローやシスレーといったお気に入りの画家や、あまり親しみはないけれど興味のあるベルギーの画家たちに触れられるとあって行ってきた。今日で終わりなんだけど。

2万点を超すというコレクションから選び抜かれた69枚。バルビゾン派のリアリズムに始まって、テルヴューレン派、印象派を経由し、フォービズムまで絵画の変遷が辿れるいい展覧会であった。

クールベやらコローやらルソーやらと言った自然主義の大家たちの絵画がまず連なっているが、そこからいかに自然主義が印象主義に変貌を遂げ、そこから新印象派やフォービズムが生まれてきたかということが、作品を追うごとに立ち上がっていく。美術史の復習をしているような気分であった。

僕はやっぱり印象派や象徴主義から始まり、表現主義やフォービズムやキュビズム、抽象絵画などまで広がる20世紀初頭の絵画群が好きだ。これらの絵は、ただぼんやり見ていると荒っぽく殴り書きされた絵の具の暴発にしか見えないが、ちょっと心の扉を開いてやると、その風景だけじゃなくて、画家の心情にまでアクセスできる広がりを持っている。この、「ちょっと心の扉を開いてやる」っていうのが肝要なんだな。ふだんの生活で、そういうことを普通人はやらないし、やるためにはある程度の訓練が必要だ。だが、一度このプロセスを自分のものにすると、絵画を通してどこへでも行けるようになるし、想像力がマッサージされてのびのびと自由になる感じがする。

冒頭に掲げたピエール・ボナールの『逆光の裸婦』が素晴らしかった。もともとボナールの絵は好きなので楽しみにしていたが、今回展示されていた『逆光の裸婦』も見事。自由に踊る色彩からあふれるみずみずしい幻想。ちょっとサディスティックにも見える情景。サイケデリック・アートにも見えるじゃない。そういう歪み方が俺は好きなんだな。

他には、ギヨーム・ヴォーゲルスという聞き慣れない画家の『黄昏の池』という奴が白眉であった。

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ギヨーム・ヴォーゲルス『黄昏の池』

やっぱり写真だとあんまりわからないけれど、作品全体の暮れなずむ情景の雄大さ・雄弁さはもちろんいいのだが、中央を流れる川があまりに美しかった。重苦しい空の色、慕情、みすぼらしく手足を広げる木立といったモチーフの中に、きらりと光る水面。見飽きない。

他の画家のもよかったけれど、この二点が傑出していた。いい展覧会であった。

コメント

投稿者: (2009年11月30日 06:58)