PLAYNOTE 犬と串『BOOKEND』

2009年11月27日

犬と串『BOOKEND』

[演劇レビュー] 2009/11/27 23:59

先のCoRich演劇祭では完全なダークホースながら最終選考団体に名を連ね、その強烈な演劇腕力とギャグ・インパクトで観客を唖然とさせたギャグ劇団『犬と串』の最新作なので観てきた。早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエにて。

こういう劇団は一つも見逃せない。着実に前回を越えるクオリティを出してくる。若いとか言われるとムカつくだろうけど、きちんきちんと実力をつけて、その手に入れた実力でもっとくだらないことに果敢に挑んでいく、そのスタンスが素敵すぎる。そして、一回一回が渾身なので、その一回をどうしても見逃したくないという気持ちにさせられる。

前回に比べて演出はよりスマートになっていて、流れがつまづくようなところがぐっと減った印象だし、脚本もきちんと構成されていたと思う。もちろんそんなところはこの劇団の売りではないのでどうでもいいのだが、「無意味を、あきらめない」という素敵なコピーに象徴される、全力バカのオンパレード、そいつをじっくり味わうために、雑味をしっかり消して来た。

シュール過ぎたりブラックだったり下ネタ過ぎたりするギャグも、素晴らしい切れ味。もうこういうのどんどん観たい。信念があって馬鹿をやっている人間を俺は本当に尊敬するし、今回も大いに笑わされ、興奮し、「演劇って素敵」と珍しく明るい気持ちで劇場を後にした。

出演者たちのキャラクターをきっちり活かしたアテ書き・演出も効いていたが、ああして捨て身でギャグに身を捧げる出演者たちのガッツがまずすごい。心折れる日もあるんだろうに。何となくお行儀のいい演劇とか、何となくスタイリッシュでオシャレでぺらぺらな芝居やってる奴らとか、犬と串の面々と共に武器を持って惨殺しにいきたい。犬串の演劇はそりゃもちろん好き嫌いは別れるが、観客におもねるより先に、「俺は/俺らはこれが面白いと思う」という信念がごっそり入っていて、しかも説教臭くなくて、まぁ気持ちのいい馬鹿っぷりで、実にいい。男らしいとさえ言える。

しかし改めて見るとシュールなギャグのバランスがちょうどいい加減であることに気付く。今回も、「やぶさめは本当に気持ちいいわー」みたいなどうでもいい台詞とか、「マグロ、カンパチ、宇崎竜童」みたいな本当にどうでもいいギャグとかがことごとくツボだった。あれはセンスいい。

これは、観ておくべき公演だと思います。見事でした。12/01(火)までやってるけど、売り切れ続出みたいだから急いで行くといいよ。