PLAYNOTE 最近読んだ本

2009年11月17日

最近読んだ本

[読書] 2009/11/17 09:12

いつかレビューを書きたい、と思いつつ書けていないものが多く、どうせこの後も書く時間なんかないんだから、まとめて並べておく。

金原ひとみ『星へ落ちる』

醜い四角関係に陥った男女四人をそれぞれの視点から描く。これ以前の金原作品に比べると客観的な描写が増え、しかも単純な一人称視点ではなく、一人称視点を四つ組み合わせていることなど、作家の幅がぐんと広がり、その分彼女の持つシリアスな問題意識、人間の業への愛憎なんかがきっちり筆に乗っている感じがする。

もう一ヶ月以上前に読んだ本なのでディテールは覚えていないし、内容についてだらだら書くことは書評ではないから避けるけれど、どの視点もどの立場もプライベートに味わったことがあるようなものばかりだったので、実に痛々しく読めた。おすすめ。

村上龍『オーディション』

十年くらい前に読んだものの再読ながら、ぎゅっと物語に引き込まれ、息継ぎなし・あっという間に読破。一言で言ってこの作品の主題は「喪失感」であり、物語後半にヒロインが見せる猟奇性・異常さよりも、彼女を含めて登場人物たちが抱えている心の穴をえぐる言葉が素敵。「喪失感」と言えば村上春樹の文学を評す際に嫌と言うほど頻出する言葉だが、春樹文学が喪失のまっただ中の心象風景を描いているのに対し、こちらは癒えた傷が時折忸怩として痛み出す、だがそれを乗り越えようというマッチョイズムが感じられ、2作家の表現・主題的差異をまざまざと感じさせる。

村上龍の文章は怨念やイメージが深い割に、驚くほど日本語として「てにをは」が整然としており、その描写力に改めて舌を巻いたということも付け加えておく。

村上龍『イン・ザ・ミソスープ』

これも再読。やはり十年くらい前に読んで衝撃を受けた作品だったが、改めて。ちなみにどちらも90年代後半の作品で、世間一般的にも自分的にも初期作の方が評価は高いのだが、初期作は鮮烈過ぎて読み返せなかった。

だが本作も捨て置けない一冊。思想的に空洞化し空疎なコミュニケーション(作中では寂しさを埋めるとか言う表現で頻出)に耽溺して自分がどこにいるのか何が欲しいのか全くわかっていない人々が、フランクと名乗る精神異常者、しかもロボトミー野郎にずたずたに切り裂かれる話で、村上龍の社会評がふんだんに盛り込まれている。説教くさいと言ってしまえばそれまでだが、文学が思想を孕んでいて何が悪い。

空疎なコミュニケーションを、空疎だなぁ、空疎だよねぇ、と感じさせる潮流が00年代の文学・演劇に広く認められたと僕は感じているが、90年代末に書かれたこの作品は「空疎バカヤロー」と大ナタを振るっていて爽快。グロ描写もさすがの龍先生である。ただ、村上龍は手法上には随分変わったし感性の水しぶきが飛沫する感じはどうあっても初期作品には及ばないかもしれないが、『コインロッカー・ベイビーズ』以来彼が繰り返し言っている「自分の欲しいものがわかってない奴は、絶対にそれを手に入れることができない」という思想はここにも現われていて、楽しい。データによると304ページあったそうだが、2時間半くらいで完読。

乙一『GOTH』

乙一くらい読んどかなきゃ、なんて、そんなつもりで読書。確かもう一冊読んだ覚えがあるが忘れてしまった。そして今回読んだものも忘れてしまいそうである。ライトノベル出身らしく、本人はライトノベルは卒業したと思っているようだが、ずっぷりラノベじゃねえか。冒頭近くでチカチーロと思しき猟奇殺人事件の例が引かれたりしていて、これは、と思わせる手応えがあったのだが、最後まで淡々と終わった印象。あえて主人公の内面を内側から描いていない、それによってある種空虚である主人公の内面が際立っている、そこのところは理解できるし味わえるのだが、これだけ血や肉に対して感覚が鋭い人なのだから、もっと血なまぐさい魂を抉り出してみせて欲しかった。まぁ、それは彼のやりたいことではないのかもしれないが。

本谷有希子『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』

本谷有希子のこれくらい読んでおかなきゃ、で読み始めたんだが、途中で放棄。理由は書かない。

森鴎外『舞姫』

何かの参考になるかも、と思って読み始めたが、内容に引き込まれた。これも高校以来とかだから十年ぶりくらい? 鴎外特有の典雅な文体は、もちろん読みづらいんだけど、その分1行1行を味わって読むような感覚が得られて自分のようなせっかちさんはたまに読み返すといいのかもしれない。さすがに心情描写はあっさりとしたものだけれど、一語・一行に込められた感情の重さがズンと心に乗っかってきて、心が引っかき回される。さすがに名作ではあるが、要は女を体よく利用して振ったんだけど振り切れないダメ男の話であって、教科書に載ってた覚えもあるけど、どうしようもない話ではある。

ただ、どうしようもない奴のことを的確に描くというのは、確かに文学ではある。

弁明

遊んでるわけじゃなくて、どれも参考資料です。

コメント

投稿者:酒井眞一 (2009年12月09日 23:30)

DULL-COLORED POPのファンになって、谷賢一さんのフリーク(?)になって、以前お勧めいただいた本を少しずつ読んでいます。
ジャック・ケッチャムの『ロード・キル』は、面白くて読むのが止められなかった。
パウロ・コエーリョの『アルケミスト』は、さらりと読めましたが、何年か経ったらまた読みたくなりそうな予感。
金原ひとみの『蛇にピアス』は、体も心も痛々しさに包まれ、そこに虚無的な哀しみを感じました。
今度は、村上龍を読むつもりです。

舞台を観た『マリー・ド・ブランヴィリエ侯爵夫人』は、すでに購入して、これから読みます。
「プルーフ/証明」の原作、『プルーフ・オブ・マイ・ライフ』は絶版だったため、DVDをレンタルしてこれから観ます。
あと、サラ・ケイン戯曲集みたいなのが近々発売されるようなので、それも購入して読んでみる予定です。

これからも、読書についてのコメントを楽しみにしています。

あぁ・・・早く自分も小説を書いてみたいなぁ・・・(^^ゞ

投稿者:Kenichi Tani (2009年12月10日 22:28)

どうもありがとうございます。恐縮です。
僕は読み散らかしているだけではありますけれど、勧めている本にはそれなりの理由や魅力がありますから、よかったらぜひ読んでみてくださいませ。

『プルーフ・オブ・マイ・ライフ』は僕は観てないんですよね。映画のイメージつくのが怖くて。サラ・ケインの戯曲集は初耳でした。まぁ英語で全集持ってるのでいらないんだけれど…。

小説、書いてみたらいいじゃないですか。パソコンあれば書けるし、なくても鉛筆と消しゴムと紙だけで書ける。そこが、強みだし、魅力だと思うんです。僕も、紙とペンさえあれば自分は戦えるんだと思うと、たまに自信が湧いてきます。

ではでは。コメントありがとうございました。

投稿者:search engine optimization vancouver (2012年01月13日 09:36)

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