PLAYNOTE 北村明子『だから演劇は面白い!』

2009年11月12日

北村明子『だから演劇は面白い!』

[読書] 2009/11/12 11:53

「夢の遊眠社」の俳優マネジメントおよび制作からスタートし、シス・カンパニーを創設。野田秀樹作品を手掛けた後もシアターコクーンや世田谷パブリックシアターなどで満員御礼・札止め状態をかます人気公演を年に3本もプロデュースしているという北村明子さんの「仕事術」。サブタイトルは、「『好き』をビジネスに変えたプロデューサーの仕事力」。

驚くべきポジティヴ・シンキングと、驚くべき自信。「自分が面白いと思うもの」を「一生懸命やってたら」「結果は必ずついてくる」、だから「私はお金のために演劇をやらない」けど「黒字化はやりたいことを続けるために当然」。特に劇団主宰者・制作者にお勧めだけれど、演劇やってる人間なら読んでおいて損はないと思う。読みやすい文体で、分量もそれほど多くないのでさらりと読める。

以下、紹介文、小学館のサイトより。

売れっ子演劇プロデューサー、躍進の秘密!

段田安則、堤真一などを擁するマネジメントプロダクション「シス・カンパニー」の社長にして、25年にわたり手がけた舞台がすべて黒字という驚異の結果を出し続ける演劇プロデューサー・北村明子。興行は水もの、の常識をくつがえすこの記録は、いかにして成し遂げられたか。

劇団「夢の遊眠社」、野田秀樹と組んだ企画制作会社「NODA・MAP」を経て、いまも「私自身が観たい芝居しかつくらない」ポリシーを貫く彼女が「“好き”を仕事に変える力」を語りおろす。

はっきり言って、書かれていること、言われていること、どれもわかっていることばかり。わかっているけどできないことばかりで、耳が痛い。

特に印象に残ったのが、「夢の遊眠社」の俳優マネジメントを請け負うことになったときに、俳優に向かって「小劇場じゃ有名かもしれないけどTV・映画じゃ無名」「お前はブスだからブスの一番になれ」等々、本気でマネジメントするために本気で本音をぶちまけたエピソード。その後彼女は劇団の制作も請け負い、会計業務を劇団から分離。どんぶり勘定もいいとこだった会計を立て直す、そうでなければ儲けなんか出しようがないから。

事実、わずか一年で売り上げを3倍に伸ばし、3年後には5000万円という額を叩き出している。その後、シス・カンパニーとして独立。今に至るというわけ。

チケットの売り方なんかについても書いてあったりする。印象に残ったのが、「観客に飢餓感を持たせる」という点。2000人の動員力が見込める公演でも、ちょっと少なめに座席数を設定する。そうすると、「見れない」観客が出て来る=もっと「見たい」が強くなる、劇団人気に拍車がかかる。だからちょうど適切な数よりちょっと少なめに席数を設定しろ、というもの。俺なんかは「一人でも多く観てもらいたいし見逃して欲しくない」とか思って、むしろちょっと多めに座席数を設定することが多いんだけど、北村さんに一度引っぱたいてもらった方がいいかしら。でも今度やるDCPOP秘密イベントなんかはそれに近い状況が演出できそうな気もしないでもない。

そういった実際的な記述の他にも、如何にネガティヴな出来事をポジティヴに転換するか、という精神論めいた部分もあって、そこに北村さんは「神さま」なんて引っ張り出してくるもんだから、人柄が見えて面白い。そういう意味では、演劇とは無関係の仕事してる人が読んでも刺激になる部分はあるんだろう。演劇は観るだけって人が読むと、いろいろ業界の裏が見えて面白いかもしれない。

小劇場の制作者は必読、って言うか何で俺が読んでんだ馬鹿、いやいや主宰者や役者も読んでいいんじゃないかしらね、こういう本は。要は、「どうやって演劇を金に換えるか」「どうやって好きを金に換えるか」ってことですから。