PLAYNOTE 本広克行監督『曲がれ!スプーン』

2009年11月07日

本広克行監督『曲がれ!スプーン』

[映画・美術など] 2009/11/07 19:25

関係者試写に呼ばれたのでのこのこ観に行ってきた。日比谷シャンテ何とか試写室にて。

あえて言うぜ、単純な話だぜ。あえて言うぜ、エンターテイメント作品だぜ。あえて言うぜ、白玉あんみつみたいな映画だぜ。でも僕はそういうのに弱いので、きっちり涙腺を刺激されて、きっちり術中にハメられて、「長澤まさみになりたい」とか思って帰ってきた。

以下ネタバレ。

超能力は存在する! と信じ切ってる若いADガールが、不思議現象を求めて諸国漫遊、でもって本物のエスパー集団と出会うんだ、カフェ・ド・念仏ってとこで。小劇場らしいネーミングじゃあないか、カフェ・ド・念仏! だがエスパーどもは世間に能力を知られるのを恐れていて、必死に必死にひた隠しにするというドタバタコメディ。

ドタバタコメディなんだが、中盤あたりからぐっと「ふしぎを信じること」がセンチメンタルな色味を帯びてくる。長澤まさみ演じるところの米(ヨネ)ちゃんが、小さい頃から信じていた不思議や魔法やスーパーナチュラルなもの、そういう夢みたいなものを失いそうでほろっと来る。それに触発されたエスパーどもが、能力を隠しながらも、ガールにドリームを見せてやる、という展開。

この辺の展開、特に米ちゃんの脳内イメージが、ドアやスプーンや小さい頃みた風景や今身の回りにあるきりきりした現実とかとミクスチャーされてマッシュアップされてコラージュされる心理の映像描写が、俺のあどけない魂にクリーンヒット。途中にも随所に絵本っぽい表現やドリーミィな描写があって、どうやら世間で言うところのオトメンであるらしい俺は、しっかり胸をきゅんきゅんさせていた。かわいいわぁ。長澤まさみもかわいいが、映画としての絵がかわいい。本広監督ナイス過ぎてミルクティーとかシュークリームとかおごりたい気になった。今度お茶しましょう。

俺が「長澤まさみになりたい」と書いたのは、彼女のような美貌を手に入れたいという意味ではもちろんなくて、あのドタバタエスパーどもが見せてくれたようなドリームを俺も見せてもらいたい、と切に願ったからである。彼女のように、夢を信じて生きていけたらなぁ、と、27歳にして思ったからである。気持ちが洗濯される映画であった。

出演俳優陣では男・岩井ことハイバイ岩井秀人氏が異色の存在感。これ全国ロードショーして大丈夫なの、って言うくらい、隙間を縫う笑いを演じていて、ハイバイに出てるときの方がもちろんもっとぶっ飛んでるんだけど、ポップコーンとか持って観るには十分過ぎる「違和感」をぎゅんぎゅん放っており、惚れた。本当に岩井さんが無茶苦茶出ていてどうしようもなくおかしかった。志賀廣太郎さんもいい味を出していたが、コマツ企画の川島潤哉氏が若さを感じさせない安定感と若さを感じさせる腕力でいい道化っぷりであった。お見事。

100分くらいだったかしら。小劇場の脚本が原作で小劇場の俳優が多数出ているが、小劇場とか何それみたいな人が一番楽しめると思う。

カメオ出演的にちらっと出てたムックさんの存在感が半端なかったが、千葉淳が出ていることは炎ちゃんに指摘されるまで全く気がつかなかった。たぶん出ていないと思う。