PLAYNOTE スタジオライフ『十二夜』

2009年11月04日

スタジオライフ『十二夜』

[演劇レビュー] 2009/11/04 03:13

御招待券を頂いたので観に行った。PLAYNOTEを読んでいる演劇業界の方々、是非僕に御招待券を下さい。観に行きます。ガチで評価します。観に行きますから招待券を下さい。あ、くれた人たち、ありがとう。

とにかく、昼の銀座みゆき館劇場に続いて初上陸となる新宿御苑前・シアターサンモールにて(スタジオじゃない方だよ、でっかいとこだよ)

断定から入るが、これはある意味、シェイクスピアの正当進化であると言える。何故なら、お客が喜んでいるから。そして、俳優たちが性的な意味でもイコンとして存在しているから。

美男しか出て来ない劇団とは聞いていたが、ここまでとは。はっきり言って、ミュージカル化されている上に、原文テキストはたぶん全体の4割以下、あとは噛み砕きまくって超わかりやすくって、しかも小劇場的にわかりやすいを通り越して、レッドカーペットを通り越して、もうエンタの神様か吉本新喜劇かよってくらいわかりやすい、わかりやすいギャグの応酬。オーシーノの名台詞、「音楽が恋を育むなら、続けてくれ」だっけ? あれとかばっさりカットして、登場一発、いきなりスタンドマイクで歌いまくるオーシーノ。イメージ倒壊、だが笑いまくる客席! 舞台では筋肉痛になるんじゃないかって心配するほど動きまくる俳優たち。止まってられないのか、ってくらい、動く、動く。そして客席はそれにあてられて笑う、笑う。

シェイクスピアって聖典化・教典化されてる節があるけど、イギリスでも原文通り上演されるようになったのは確か19世紀末くらいからで、それまでは「最後にリアが死なないでみんなと和解するリア王」とか「デズデモーナとの誤解が解けて仲直りするオセロー」とか、とんでもないものがいくらでもあった。多田さん曰く、韓国では今でも原文通り上演する方が珍しいとか。だから、これくらいの改変はどうってことないと覚悟しなくちゃいけない。そして、その改変が、「ある層の」と注はつくが、お客さんを喜ばせている。

もう一度書くが、これはある意味、シェイクスピアの正当進化であると言える。ニーズがあって、それに応える。大衆に支持されている。舞台上の俳優を観て、カッコいい、かわいい、抱きたい、××したいと思う。演劇は芸術か芸能か、そんなんどっちだっていーよバカヤロー、どっちもだコンチクショー、というスタンスを取った場合、これは、この『十二夜』を否定する要素はないし、むしろしかつめらしいシェイクスピアより、よっぽど本来の猥雑さに近いんだろうと思う。

客席は、99%が女性客で、残りの1%が俺だった。すごい疎外感。開演前に何か今度シングルデビューするとか言うアイドルユニットみたいなのがMステみたいにトークして、歌って踊って、キャーキャー黄色い悲鳴が上がって、もうとんでもない空気にぶち込まれた俺一人。金髪革ジャン指輪だらけで髪おっ立ててギラギラしてたのに、キャーキャーいう子羊たちの中に一人ぽつねん。どうしていいのかわかんないので、手拍子の変わりに縦ノリで揺れてやった。ノレなかったけど。

ある層の観客にとって、この『十二夜』は至宝だろう。俺は、かなり楽しめたが、たぶんもうしばらく行かないと思う。作り手側のターゲットに俺が入ってないことも承知である。だが、マルヴォーリオが早口言葉のシメに「ウルトラソウルッ!」って言ったのは過大評価したい。あれは、凄まじかった。投身自殺のようであった。回りはウケてなかったけど。

あと、フェステを演じた山崎康一氏、彼は掛け値なしによかった。変幻自在の表情・体躯に、あのダンディズム。『十二夜』におけるフェステはシェイクスピアの道化における最高傑作・集大成なんて言われてるくらい味わい深いもので、映画の名作、トレヴァー・ナン監督の『十二夜』でも、ベン・キングスレイがぞくぞくする名演を見せていたが、今回の山崎氏のフェステ、片腕がないフェステ、黒服のフェステ、あれはよかった。他は、「いいんだろうけど、俺の領域じゃない」ってものが多過ぎて評価のしようがないが、フェステ、彼は十二夜の裏に流れるほろ苦さを押しつけがましくない形で背負っていて、白眉であった。

全体的にコメディタッチに作られ過ぎていた感はあるが、マライアの恋をかなりきちんと追っていた点や、一番最後の兄弟の邂逅シーンでがらっと空気を変えてぐっと締め、涙腺を刺激してくる辺り、演出家はかなり手の込んだ仕事をしているのがわかる。その気になれば凄まじく重厚な悲劇も作れる人なんだろう。今回は、戯曲的にも客層的にもこれで大正解である。演出家の資質は、こういうところでも問われる。

いい社会勉強であった。シアターサンモールを一ヶ月借り切るには、こういう仕事が必要だということだ。あ、いや、本当、面白いですよ。俺はもう行かないけど。

コメント

投稿者:深見謙吾 (2009年11月07日 11:16)

はじめまして。
突然の書き込み失礼いたします。
私は小劇場を中心にフリーで役者をやっている者です。
深見謙吾と申します。

先日のサンモールスタジオでの二本立て公演で初めて谷さんの世界を体験し、深い感銘を受け、検索して辿りつきました。
過去の記事もすべて拝読させていただきました。

今記事にて、ご招待希望ということですので、もしご都合が合えば私が出演する舞台を見に来てはいただけないでしょうか?
ご希望でしたら、2名様まで御招待させていただきます。

以下公演情報です。


集団as if~
第8回本公演
『生の瑕疵』~セイノカシ~

生きているだけで疎まれることもある

体に傷がある、それは生まれつき

それでも人を愛し、友を信じ

曲がってはいるが進んできた

不器用にしか生きられないからつぶやく

「神様に言ってやりたいよ。人間の不良品を作るなって」

信じていたものが根底から崩れたとき、最後に残るものはなんだろう

年の終わりに集団asif~が送るネガティブコメディ


《タイムスケジュール》
12月3日(木)~6日(日)
3日(木)19:00
4日(金)19:00
5日(土)14:00
    19:00
6日(日)13:00
    17:00

《劇場》
萬劇場
◎JR山手線大塚駅北口下車・徒歩4分

《チケット料金》
前売り 2800円/当日 3000円

《劇団HP》
http://shudanasif.web.fc2.com/


ちょっと向う見ずな申請で、不快に感じたら申し訳ありませんでした。
いらしていただけるようでしたら、上記のメールアドレスにご連絡ください。
それでは、お返事お待ちしています。

投稿者:深見謙吾 (2009年11月07日 11:23)

すいません。
アドレスを書いていませんでした。

asayanyan@happy.odn.ne.jp

です。