PLAYNOTE ジェットラグプロデュース『肌』

2009年11月04日

ジェットラグプロデュース『肌』

[演劇レビュー] 2009/11/04 02:56

作が葛木女王で、演出がJACROWノブさんで、まさかの菅野貴夫出演で、さらにまさかのフライヤー・マキタカズオミ(これあんまりみんな気付いてないだろ)だったので観に行った。銀座みゆき館劇場にて。

ジェットラグプロデュースの作品は岩井さんの最高傑作の一つと言ってもいい会心作『投げられやす~い石』、中屋敷くんが大暴れした『あなたと私のやわらかな棘』で観ていて、いずれも「さすが男・岩井」「さすが暴れん坊・中屋敷法仁」、と、肝臓を引っこ抜かれたような気分で帰ったのでよく覚えている。今回で3度目になるわけか。

銀座みゆき館劇場なんて初めて行ったんだけど、客席がふかふかさといい角度といいとてもいい塩梅で、実にリラックスして観れた。お客さんのリアクションもあったかくて、何て言うか、きちんと「演劇」を観に来ている感覚。内容的にも客席に合ったリラックスして安心して楽しめる喜劇で、貴夫さんと

「これお父さんとかお母さん呼んだ?」
「呼んだよ」
「喜んでたでしょう」
「うん」

なんて会話をしたけれど、本当にそう。演出のノブさんこと中村暢明さんは、終演後お話したらすごく謙遜していたが、こういう「誰でもきちんと楽しめる」「安心して連れを誘える」って作品群は、ある一定数必要だと思うんだ。

葛木×中村というペアリングを考えると、もっと毒々しいものに仕上がっているのを期待したし、そうだったらそうだったでまた全く別の角度の面白さ・痛々しさがあったんだろうと思うが、『肌』のやわらかい笑いに満ちた世界観は、みゆき館劇場の客席の角度に合っていたと思う。

ゲイに女の子が恋しちゃうってプロットは真新しいとは言えないしラストの展開が性急かつ唐突な印象はあったけれど、それよりも各パート・各シーンに細かく丁寧に小ネタや仕掛けを入れて飽きさせず、落としどころできっちり泣きを取る葛木さんの職人芸は見事であったし、俳優をきっちりコメディさせておいて締めるところできゅっと締める、大振りもバントも使える中村演出もいい仕事。作・演ともに隙がない、それが今回俺が上機嫌な理由なんだと思う。3500円の芝居。

小劇場通としては両名の持つ「毒」、この2人はやわらかな導入やパッケージをした作品を作りながら毒を盛ってくる毒殺魔たちなので、その「毒」を感じたかった、というのはある。だが、わざわざ長野から出て来た菅野貴夫の両親を喜ばせたこと、ひりひりする日常やせこせこする小劇場界隈に疲弊している俺がほっと客席でくつろげた、そういうあったかい角度は、俺はあえて評価したい。

あと、主演の女の子が可愛かった。あの子を水着で登場させた時点で、若年層へのアピールは完璧である。

あとは、貴夫さんの眼鏡、千秋楽なんだから天井まで飛べばよかったかな。