PLAYNOTE ぴんくのくま

2009年10月29日

ぴんくのくま

[雑記・メモ] 2009/10/29 21:17

リクエストに応えて、ぴんくのくまの話を書きます。

ぴんくのくま

もともと、かれはどこにでもいる、ふつうのやんちゃなくまでした。きのえだをあつめてたいそうりっぱなかんむりをつくったり、ささのはをおってこぶねをきらきらするおがわにながしたりするのがすきな、ふつうのちゃいろいくまでした。

ただ、がっこうのテストはいつもれいてん! くまにもがっこうがあるのです、ちゃあんとね。くまのがっこうでは、しゃけのとりかたや、かぜをひかないとうみんのしかた、もりのどうぶつたちとのルールとか、たくさんやくにたつことをおしえてくれます。でも、かれはいつもれいてん! しゃけをとろうとすればすってんころりん、おがわのすなでどろまみれ。とうみんのれんしゅうをすれば、いつもねすごしてさくらがちるまでねています。もりのどうぶつたちとはなかよくしてたけれど、どうしてもシカくんやタヌキくんをたべちゃうなんてできません。どんぐりだけで、かれはじゅうぶん。

でも、あるひ、おかあさんがぽろりなみだをながします。
「どうしておまえはおちこぼれなのかねぇ。おかあさんはないてなんかいないんだよ」
でもかれにはよおくみえました、ぽろりなみだがながれるとこが。

だからもりのおくにある、おおきなすぎのきのあるひろばにいって、よぞらのほしにおねがいしました。
「かみさま、おねがいです、ぼくをできのいいくまにしてください」
もってきたどんぐりをななつ、きりかぶのうえにならべて、くまはくまのかみ(とてもおおきいそうです)におねがいしました。ながれぼしがよっつおちて、フクロウのおやこがねむりにおちて、おつきさまがすっかりとおくへいってしまうまよなかまで、かれはいっしょうけんめいおいのりをして、いつのまにかねむっていました。

* * *

つぎのひ、きがつくと、かれはあさつゆがぴかぴかしているくさのあいだで、ごろんとよこになっています。

「いけない、がっこうにちこくしちゃう! またおかあさんがないちゃうよ」

もうおひさまがあかいじかんはおわっていて、まっしろくひがしのそらにかおをだしています。いそがないといけません。

「すこし、ちかみちをしよう」

くまくんはのはらをつっきって、がっこうのほうへいそぎました。だが、くまくんだいぴんち! めのまえにはおおきなかわがながれています。そういえばきのう、すいえいのじゅぎょうでまたしっぱいしてしまったばかりなのです。こんなにおおきくてふかいかわ、わたれるはずがありません。

「でも、いそがないと、またおかあさんがないちゃうよ」

くまくんはおもいきって、ざぶん! かわのなかにとびこみます。あわ、あわ、あわててりょうてをうごかし、ひし、ひし、ひっしにあしをばたばた。でも、おや、どうしたことでしょう。おぼれるどころか、すっかりすいすい、くまくんはじょうずにかわをおよぎました。とちゅうでカワウソのおじょうさんをおいぬいてしまうくらい、すいすいはやくおよげたのです。

「すごい、すごい! かみさまがきっと、おねがいをかなえてくれたんだ」

けれど、よろこんでいるばあいではありません。がっこうにおくれたら、またおかあさんがないてしまいます。いしょ、いしょ、いっしょうけんめいはしるくまくん。おや、いつもよりからだがかるい。なんだかツバメみたいにひゅんひゅんいける。とちゅうでキツネのおにいさんをおいぬいてしまうくらい、ひゅんひゅんみがるにはしれたのです。

「すごい、すごい! かみさま、どうもありがとう!」

だけど、よろこんでいるばあいではありません。がっこうにおくれたら、またおかあさんがないてしまうます。あせ、あせ、あせってかけっこしてると、どしん! だれかにぶつかったよう。みれば、きのあらいことでゆうめいな、ふだつきのふりょう、まだらもようがめじるしの、わるいイノシシ・ノンノンです。

「おまえ、なめてるだろう」
「なめてません」
「うちゅうのはなしをしようぜ」
「どういういみですか?」
「きょうはただなのにきてくれてありがとう」
「え? ええと、どういたしまして」

ぺこり、あたまをさげたすきに、どしん! ノンノンのきょうれつなたっくるがくまくんをふきとばします。どさり、おちばにつっこんで、くまくんはすっかりしょげてしまいます。でも、いそがなきゃ、おかあさんがないちゃうよ。くまくんはぶるるとからだをゆすっておちばをおとすと、はないきをあらくしてむかってくるノンノンを、がしり! うけとめて、こんどはぽいっとなげてしまいます。こんどはノンノンのほうが、どさり、おちばにつっこんで、くるくるめをまわしています。

「すごい、すごい! ぼくはもう、なんでもできるぞ。ぼくはもう、がっこうでもだいじょうぶ」

かみさまはどんぐりのぷれぜんとをきにいってくれたのでしょうか。それともおそくまでおいのりしたことによろこんでくれたのでしょうか。とにかく、うれしい! くまくんは、せかせか、せっせとがっこうへむかいます。

* * *

がっこうにつくと、ぎりぎりせーふ、ちょうどべるがなるところ。いきをきらしてせきにつくと、ちょうどせんせいがきたところ。よかった!

でも、なんだかともだちがざわざわしています。みんながぼくをみているよう。きっと、ぼくがりっぱなくまになったことに、みんなきづいたんだろう。とくいげにくびをふりながら、くまくんはがっこうでなければ、はなうたでもうたいだしたいきぶんでした。

すると、せんせいがめをまるくして、いいます。

「きみ、どうしたね。びょうきかね」

え? ぼくはぜんぜんげんきだよ。

「おまえ、どうしたんだよ。へんないろ」

え? ぼくのいろがどうしたって?

「あなた、くまじゃないみたい。きもちわるい」

くまくんは、なにがなんだかわかりません。でも、みんながかれのことをわらっています。くまくんはすっかりはずかしくなって、はしってきょうしつをでていってしまいました。

あぁ、またぼくはだめなくまにぎゃくもどり! がっこうからかえってきたら、おかあさんがまたないちゃうよ。ううん、でもそのまえに、もうぼくがないてるみたいだ。どうしてみんなぼくのことをいじめるの? ぼくはなんにもしていないのに。

めをまっかにしておうちにかえったら、またおかあさんがないてしまいます。くまくんは、かわでかおをあらうことにしました。すると、どうでしょう。きらきらおがわのせせらぎに、うつったくまくんのかおのいろ、みみのいろ、けがわのいろ! くまくんは、すっかりはっきり、からだじゅう、ぴんくいろになっていたのです。

「ぼくは、ぴんくになってしまった! きっと、かみさまがおこったんだ。どんぐりがすくなかったんだ、おいのりがみじかかったんだ。どうしよう、どうしよう」

くまくんは、ざぶ、ざぶ、ざぶりとからだをあらって、でもぴんくのいろはちっともおちません。このはでからだをこすってみたり、たいようのひかりでかわかしたりしてみましたが、かれのからだはぴんくのまま。ぼくはこのままじゃ、まえよりわるい、できそこないのくまになってしまう。こんなことなら、おいのりなんてするんじゃなかった!

さめざめなみだをながしながら、とぼとぼかれがおうちにかえると、おかあさんがちょうどおひるのじゅんびをしているところ。きょうのごはんは、どうやらくりごはんみたいです。でもぼくは、ぼくは・・・。

「おかえりなさい、どうしたの、わたしのぼうや? こんなにはやく。まだがっこうはおわってませんよ」

くまくんは、そわ、そわ、あたりをきょろきょろするだけで、どうこたえていいんだかわかりません。

「それに、どうしたの、そのいろ? とつぜんぴんくになっちまって」

くまくんはいいました。

「ごめんなさい、ごめんなさい、おかあさん。ぼくは、ぴんくのくまになってしまいました」

なみだをぽろぽろながしながら、くまくんはおかあさんにいいました。おおきなこえで、いいました。すると、おかあさんは、ちょっとこまったかおをしたあとで、あっはっは! おおごえでわらいだします。

「どうしたの?」

おかあさんはまだわらっています。

「どうしたの、どうしたの? そんなにへん、ぼくのいろ?」
「ごめん、ごめん。だって、おまえが、あんまり、なくんだもの」

くまくんはうつむいてこたえます。

「だって、だって、ぼくはぴんくのくまになってしまったから」
「よくおにあいじゃないか」
「え?」

くまくんがふとかおをあげると、おかあさんはわらっています。

「かわいらしいいろじゃないか。ぴんくのくまがむすこだなんて、おかあさんにはちょっとしたじまんさ。きっとかみさまが、やさしいおまえのこころのいろに、からだをいろどってくれたんだよ」

* * *

つぎのひからくまくんは、げんきにがっこうにいきました。もうぴんくのけがわをわらわれても、くまくんはへいきです。だんだんみんな、ぴんくのけがわがうらやましくなってきたみたい。だって、とてもきれいな、つやつやしたぴんくいろなのですから。

でも、きのう、カワウソよりはやくよいだり、キツネよりはやくはしったり、イノシシよりつよいちからがでた、あのスーパーくまパワーは、どこかにいってしまったようです。すいえいも、かけっこも、うでずもうも、くらすでいちばんなんてぜったいむり。でも、かけっこではびりっけつじゃなくなったし、すいえいではおがわをおよぎきることができるようになったし、うでずもうだって、たまに、かちます。シカくんやタヌキくんをとってたべるなんてやっぱりまだできないけれど、どんぐりはだれよりもはやく、たくさん、あつめられます。

ぴんくのくまは、どんぐりをあつめて、おかあさんといっしょにぽりぽりたべるのが、だいすきでした。きのえだをあつめてたいそうりっぱなかんむりをつくったり、ささのはをおってこぶねをきらきらするおがわにながしたりして、ともだちとあそぶのがだいすきでした。それからずっと、ぴんくのくまは、おかあさんといっしょに、ずっとしあわせにくらしましたとさ。

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書き始めたら長くなっちまった。でも楽しかった。仕事に戻る。

コメント

投稿者:ササコ (2009年10月30日 17:33)

ふと目に留まって読んだら涙が止まらなくなってしまいました。
今の私にぐさっときすぎて驚きました。
ありがとう。
それから遅くなってしまいましたが「心が目を覚ます瞬間」、とても素敵でした。
素敵で素敵でどうしようと思った。
ありがとう。ありがとう。お疲れ様でした。

投稿者:Kenichi Tani (2009年10月30日 19:12)

こんなひらがなばっかりで読みづらい文章を読んでくれてありがとう(笑)。
ハマったんなら良かったし、楽しんでもらえたなら良かった。
作品として世に出すものとは別に、こうやってブログに書き散らかすものは、書いた後で後悔することも多いんだけれど、ササコちゃんみたいな感想もらえると、あぁやってよかったわーって自己満足を得られます。ありがとね。

次のライブは運悪く予定がかぶってていけないんだけど、またやるとき、連絡下さい。

投稿者:ハマ (2009年10月31日 23:38)

ベンジーいのしし・・・w

しかし涙だなあ。
将来はこういう話をこどものねむる前にしてあげられる、親、母親になりたいなぁ私。

投稿者:やす (2009年11月01日 09:39)

なんでしょう・・・

なんだか、恐怖心がわきました・・・

この気持ちはなんだろう・・・

投稿者:やす (2009年11月01日 09:41)

謎がとけました!!


そして、無性にThis is itが見たくなりました。
あれ、かなりできがいいらしいですよ〜!

投稿者:Kenichi Tani (2009年11月01日 12:28)

>ハマコ
よくベンジーいのししに気づいたな。
俺こういう話ならいくらでもでっち上げられる気がする。

>やす
君のコメントがかなり謎ばかりで逆にこっちが恐怖心煽られるわ(笑)。
マイコーのあれは俺も観たいです。でも今月は忙しそう。。。