PLAYNOTE 日本歌曲コンサート『音楽物語~大正ロマンに思いをはせて~』

2009年10月26日

日本歌曲コンサート『音楽物語~大正ロマンに思いをはせて~』

[音楽・ビートルズ] 2009/10/26 01:01

かつてJMSミュージカル『若草物語』のダージリン版で主役をやった諸星美砂が歌うと言うので西日暮里くんだりまで行ってきた。演劇じゃない、コンサートだ! わくわくする! やなか音楽ホールにて。

結論から書くと、ため息が出るほど素晴らしかった。あと2時間でも聴いてたいって思ったくらい。

大正時代に、何か、鈴木三重吉とかその辺が『赤い鳥運動』ってものをやって、日本独自の歌曲・童謡を作ろう、みたいな流れになって、でも最初は「ガキが勝手にメロディつけて歌えばいいから歌詞だけで」とかやってたとこに読者からリクエストが殺到、「曲つけて」、で、いろんな童謡が生まれてったそうなんだけど、その記念すべき第一曲が、『かなりや』。

♪歌を忘れたカナリアは後ろの山に棄てましょか いえいえ それはかわいそう

って奴。この曲すごい好きで、以前とある芝居のメイン・テーマに使ったことがあったくらいだったから、「お前確実に音大出で、三歳からピアノやってて声楽やってて何十年も歌い続けてるだろ」って感じのスーパー・ベテラン・熟女が歌い始めた瞬間に、もうやられてしまった。

美しい、って言うより、楽しいのね。聴いていて童心に返れるし、わくわくする。「しゃぼん玉」とか「赤い靴」とか、よかったなぁ。

中でも「カチューシャの歌」がとりわけ秀逸。何でもあの島村抱月が松井須磨子のために詞を書いた曲だとかで、

♪カチューシャかわいや
 別れのつらさ
 せめて淡雪 とけぬ間に
 神に願いを ララ かけましょか

って曲だったんだけど、わくわくしたしうっとりしたし、ぞくぞくした。普通の日本語のど真ん中に「ララ」って持ってきちゃうセンス。抱月先生、すばらしいです。歌い上げた諸星にもスペシャルな賛辞を。

カチューシャの唄の歌詞を発見したので、リンクしとくよ。後学のために。

ほかにも、竹久夢二が書いた曲だとか(宵待草)、山田耕筰が作った『童謡百選集』なるものからの歌だとか、初耳だけど日本語の美しさとメロディのあたたかさ、そして歌声のすばらしさ(最前列で観てやったから、スペシャルなソプラノ×3がサラウンドで楽しめた!)、まじであと2時間あっても聴けたな。アンコールあと8回くらいあってもよかった。

気に入った歌詞。

『電話』より、「黄色い おみかん なりました」。おみかん。いい響き、しかも電話の内容が「おみかん なりました」ってどんなロマンチシズムだよそれ、ぶっ殺すぞお前。

『あわて床屋』より、「チョッキン チョッキン チョッキンナー」。なに、「ナー」って。この度胸と言うか、リズム感と言うか、日本語として自由で楽しい感じがたまらない。大正歌曲、聴こう、これから。TSUTAYAで借りよう。武井は武満徹と中田喜直だけでアクメいけるって言ってたな。これも借りよう。

後半は、山田耕筰の反省を寸劇チックに追いながら、彼の歌曲を歌っていくちょっとした歌劇と言うかオペレッタと言うか仕立て。たぶん演出的にとか演技的にとかダメ出しする気で全然観てないからだけど、これがもう本当に面白かった。机におちょこを2つ乗せて、「まぁまぁまぁ」って言って酒を注ぐだけで、そこに山田耕筰と北原白秋が見える! 俺には見えるぞ! やっぱり、演劇は観ちゃいけないなって思った。職業意識を切って芸術に触れると、こんなに楽しいのか。歌ってのはこんなに人の心をあっためるのか。

でもやっぱり、ポップスじゃなくて大正歌曲ってのがよかったんだと思う。来年、芝居にします。まだオフレコ。関係者、黙ってろよ。いい本書くからなザマアミロ馬鹿野郎。

本当に、行ってよかったし、鑑賞中にアイディアが3つも4つも浮かんだいい時間であった。来年の俺は演劇悪魔の名の通り、悪魔のような仕事をするから黙ってみていろ。あ、いや、観に来て下さい。

こういう、素直に「楽しい」とか「嬉しい」って気持ちを大事にした、芝居作りがしたい。

コメント

投稿者:なお (2009年10月26日 01:40)

カチューシャの曲はわたし神山先生の授業で聴いたよ。しかも確か須磨子が歌ってるやつを。赤とんぼの曲にメロディすごく似てるやつでしょう。
わたしもお唄が唄えたらもっと生きてて楽しかったろうな。