PLAYNOTE 演劇集団砂地『ナノ クライシス ポルノグラフィティ』

2009年10月22日

演劇集団砂地『ナノ クライシス ポルノグラフィティ』

[演劇レビュー] 2009/10/22 13:01

中屋敷法仁、柴幸男と並んで俺が最大級に評価する20代演出家である船岩祐太作・演出による一本。アルトゥル・シュニッツラーの『輪舞』が原作。新宿三丁目・SPACE雑夕にて。

一対一の男女の会話と暴力的なセックスの衝突。まったく関係のなさそうな十組の男女の不倫による人物相関図が一つの大きな輪を描く、壮大な穴兄弟・穴姉妹の物語。誰か小劇場役者の実名使ってこれやらない? 壮大な輪が描けると思うよ(←たぶん後でいろんな人に怒られる一文)。

砂地特有のエッジの鋭い人物同士の衝突。今回は一対一の男女限定ということで、より緊迫感溢れるタイマン勝負が十本続く。フックがない、ストレートばっかり、ぼこぼこにされる二時間弱。結構精神的に強靭である俺も打ちのめされるヘヴィ・ゲージのロック作品であった。

転換の仕方一つをとってもエッジが鋭く、目が離せないのだが、それでも転換があってよかった。もっと転換のタイムを削ってたら、よりどうしようもなく「疲れる」作品になっていたと思う。このままでも十分疲れる。磨耗する。だが、それでいいんだ。仕事の後、疲れてひとときの休息を求めて観る類の演劇ではない。精神をすり減らす代わりに、人生や愛についてギリギリ考えるために劇場へ行け、ぬるま湯みたいな芝居をやってる/観てる演劇人どもめ。

実は原作を読んでないので、どこまで船岩節なのかわからないけれど、希薄な人間関係を求める現代人の姿や、その一方で濃密な愛の確認を欲望せずにいられない姿がこってり描かれていて、はっきり言って労作・大作であると思う。砂地を見慣れた人間としては、演出のカラーが過去作品と似通っている点にやや残念さを感じる。船岩裕太による新境地、みたいなものが、そろそろ観たい。

出演俳優陣ではとりわけ誰がよかったというのはない。みんなよかった。これは、きちんとワークショップをやって選出したから、というのもあるだろうし、俳優を追い込む船岩氏の強靭な演出サディズムによるものでもあるんだろう。軒並みレベルが高く、ぬるぬるした芝居を見慣れている目には大変刺激的であった。

DCPOPにも出演してくれていた田村元さんや、観る度に姿を変えるがきっちり俺を殺してくれる殺人的マドンナ・佐藤みゆきが「やはり」の好演を見せていた点には満足。他もいちいち書いているときりがないので触れないが、十人も出ていてどのシーンもマンツーマンで演じていて「お前は引っ込め」みたいな人がいなかったのは素晴らしい。

感覚を、倫理観を、そして演劇感覚をカミソリで切り続けられる時間。面白かった。前から言ってるが、砂地はもっと見ろ、人々。