PLAYNOTE なぜお前が出演する

2009年09月05日

なぜお前が出演する

[公演活動] 2009/09/05 02:19
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ハサミ

DULL-COLORED POPの第9回公演は、2本立てです。片方はちょくちょく話題にしている『プルーフ/証明』。もう一本は、サラ・ケインの遺作『4.48サイコシス』を翻案した『心が目を覚ます瞬間』。出演は、DULL-COLORED POPより谷賢一、堀奈津美の二人です。

僕が出ます。

今、翻訳をしているところ。全然進まない。難解な単語や複雑な文章が多いから、というつまらない理由。意味がわかるように訳すのは簡単だけれど、台詞にしながら、となると、難しい。そもそもこれは、台詞なのかどうかすらわからない。

僕のプランでは、

  1. とりあえず一度訳す
  2. もう一度訳す
  3. 今度は翻訳を元に、意図しているであろうニュアンスを日本語的詩情を持って、俺が一から書き直す
  4. そして谷賢一自身のテキストを間に挿入して、完成。

という流れで考えています。

普通に台詞や歌詞を訳していても意訳はやるけれど、今回のこれはもっと徹底的に意訳しないと駄目だろう。原文に正確であることよりも、原文の持つ心の状態に正確であるべきだ。僕は劇作家だから、こういう訳し方をしてもいい。だから『~4.48サイコシスより~』なわけで。

で、出演は、僕と奈津美の二人です。僕はナレーターとかリーディングとかじゃなくて、がっつりと俳優をやります。俳優、というと少し違うかもしれない。登場人物として板に乗ります。奈津美はがっつりと俳優ですが、彼女ですら登場人物かもしれません。

CoRich! とか仮チラシの説明文には、「前衛的・実験的演出をふんだんに盛り込み、演劇的インスタレーション作品として上演します」と書きました。僕はもう演劇悪魔なので、演劇をぶち殺そうと思っている人間なので、演劇である必要はないんだ。演劇とインスタレーションの間にあるものは何だ? 何もないだろう、本質的には。前衛的と言われてしまうような演出を自分は好かないが、今回はやってみたいと思っている。

気でも狂ったか、と思われるかもしれないけれど、今回に関しては自分がやることが一番いい。キャスティングに困った、というわけではないんだよ。先々月のWS/ADではいい人はいっぱいいたし、誘いたい人も出たいって言ってくれる人もたくさんいる。でもこれは、自分でやらなきゃならない仕事だし、その先に何か変化がある。

最近割と自嘲的に、「俺の演劇はコピバンだ」と言うことがある。コピーバンドの略ね。『ショート7』では不条理劇やリアリズム劇やミュージカルや口語劇のコピーをやったし、『ブランヴィリエ』では古典悲劇のコピーをやった。芸術家において模倣というのはとても大事で、ピアニストだってショパンを弾くところから始めるし、ピカソだって写実的なスケッチから始めた、書道だってお手本をさらうところから。だから、コピバンって言うのは言い過ぎで、そんなこと言い出したら現代のロックはみんなビートルズのコピーかというと、もちろんそんなことはない。

自分がやってきたことは、決してコピバンと言うようなものではない、確実にオリジナルなのだけれど、自分は何か、全く新しいものを探してみたいと思って、今回のサラ・ケインに挑みます。引き出しを開けまくった今年の総括、4年間のDULL-COLORED POPの総括です。

谷賢一出演はおそらく今後二度とないだろうし、こういうスタイルをやること自体、もう二度とないと思うから、是非観に来て下さい。金がない奴はメールすればまけてやるよ。金儲けでやってんじゃないんだ、この作品に関しては。もちろん、料金以上のものを作ります。