PLAYNOTE イーブン

2009年08月29日

イーブン

[雑記・メモ] 2009/08/29 01:40

一つ出費が増えれば、一つ収入が増える。一つ物を落とせば、一つ物を拾う。一つ雨に降られれば、一つ晴れ間に出会う。一つ敵と出会えば、一つ味方と出会う。いろいろな意味でイーブン過ぎて、気持ちが悪くなる。

昨日は気分が晴れないので、紀伊國屋書店で芥川龍之介を買った。もうあらかた買い揃えてあるのに、こうやってちまちま買うくらいなら、全集をドンと買ってしまえばいいんだな。

そこでこんな一文に出会う。

幻滅した芸術家

或一群の芸術家は幻滅の世界に住している。彼等は愛を信じない。良心なるものをも信じない。唯昔の苦行者のように無何有の砂漠を家としている。その点は成程気の毒かも知れない。しかし美しい蜃気楼は砂漠の天にのみ生ずるものである。百般の人事に幻滅した彼等も大抵芸術には幻滅していない。いや、芸術と云いさえすれば、常人の知らない金色の夢は忽ち空中に出現するのである。彼等も実は思いの外、幸福な瞬間を持たぬ訣ではない。

以前、ある尊敬する先輩俳優に、「作家の幸福は、苦しみ抜くことであるのでしょうか」なんて気取った一文を書いたことがあった。何が作家だ。ぺーぺーだよ、ぺーぺー。と思っていたら一つ二つと嬉しい話が舞い込んで、さっさと公表したいのだが、まだできない。

一つ二つと嬉しい話が舞い込むと、一つ二つと暗い話が飛び込んでくる。イーブンである。どっちかにしてくれ。

顕史郎さんと10月に上演される『プルーフ/証明』に関するメールを毎日のようにやりとりしている。本の読める奴と話すのは楽しい、と言いながら、無茶苦茶な広さ深さの引き出しを開けてあれやこれやと書き送ってくる。俺も負けじと書き送るが、俺が開ける引き出しはここ、ここんとこにある。

昨日、とある機会で『プルーフ/証明』を声に出して読み、その後黙読で通読したのだが、図らずも泣いてしまった。だっせーの。だが、いい本だ。こいつを成就させるためなら悪魔とベッドを共にしてチンコを噛み契られても構わない。火中の知恵の輪だって手を突っ込んで解いてやる。

くだらない。俺は演劇を憎悪している。演劇は敵だ。ぶち殺してやる。演劇悪魔、あと昨日、演劇ゾンビって言葉も生まれたが、どちらにせよ演劇をぶち殺してやる。演劇と添い寝するようなものじゃない、演劇のすべてを奪い取りたい。

サラ・ケイン『4.48サイコシス』も順調に読んでいる。行き帰りの電車で読むと妙に気が滅入る。素晴らしい戯曲だ。絶対上演したくない。だからやる。ずっとポップなイメージ、ポップな作風の劇団でしたが(まじで)、今回は奈津美と一緒に地の底まで階段を降りてやる。

制作・北澤が嬉しいメールを送ってきた。世界中が俺に嘘を吐いても、何があっても俺には絶対に嘘を吐かない奴が1人だけいる。俺の芸術である。

酔っ払っていないからたちが悪い。今晩はもう寝よう。って、明日から方南暮らしだ。31日のパーティー、ぜひ来て下さい。まじで何のおかまいもしませんが。