PLAYNOTE ずるずる

2009年08月26日

ずるずる

[雑記・メモ] 2009/08/26 23:31

ずるずるに疲れた。目の下の隈が酷い。言われるまで気づかなかったが、特殊メイクみたいになってる。寝てはいるから、酒のやりすぎだろう。ゆうべだけでウィスキーを700mlくらい飲んだ。

今日は韓国演劇界の重鎮、イ・ユンテク演出『授業』(作:イヨネスコ)の楽がはねて、バラシ後打ち上げだったが、もう気持ちが悪くてたまらないのでウーロン茶を一杯だけ飲んで帰った。明日も十時入りだが、嫌だ。行きたくない。まぁ、行くんだけどな、大人だから。

連絡を取るべき人とうまく連絡がつかない日々が続いている。行き帰りの電車では、サラ・ケインを読んでいる。「床が逃げる、一万匹のゴキブリが這い回るように」。そんな台詞があって、背筋が凍った。それで余計に気持ちが悪くなり、『いい状態』にどんどん近づいていく。「リンダ、あなたは私の人生から削除されてしまったの」。いい台詞だ。リンダを『削除』したのはジャニスだが、そうさせたのはリンダだろうし、リンダをそう仕向けたのはジャニスだ。消去し合うことで、あの二人は生き延びて、あと、片方は死んだ。

そして電車が赤坂見附を通り過ぎる。殺したい駅ナンバーワンだ。ナンバーツーは新宿かな。好きな動物はヤギだ。嫌いな色はカリビアン・ピンクだ。クリスピークリームドーナツが食いたい。いや、本音を言うと、ぜんぜん食いたくない。南の島にバカンスに行きたい。いや、本当は、ぜんぜん行きたくない。

昼間、ある人とマクベスの話になる。マクベスを苦しめたのは何であったか。それは己の良心だ。人の心に悪を見いだすより、己の魂に黒ずみを見つける方が何千倍も恐ろしい。パウロ・コエーリョの素晴らしい小説『悪魔とプリン嬢』に出てくる「悪魔」は、ある凄惨な事件を経て、人生で一番大事な物を失った、と述べている。人生で一番大事な物、それは、隣人への信頼であるとも。俺は、こういう引用をすることで、一番大事な物への言及を必死に避けている。代わりに「寿司が食いたい」とか「フットサルがしたい」とか「テスタロッサに乗りたい」とか、ぜんぜん思ってもいないことを言う。

昼間、ぐうぜん空想組曲のほさかさんと出会う。二人とも『チェクァギャ』というルーマニアのバンドが好きで、そんな話は他の誰ともできないから、一通りその話で盛り上がる。チェクァギャのボーカリストは50過ぎの惨めな顔をしたおばさんで、ジャニス・ジョプリンやマルタ・クビジョバのような愛嬌もなく、しっぽを切り落とされた野良猫のような顔をして、超音波みたいな声で歌う。ギタリストは内戦で80人も人を殺した、そのことを償うために右手の中指から薬指をすべて切り落としたというエキセントリックな男だ。「親指と人差し指があればピックは持てる、ただ、小指か薬指か中指、どれか最低一本はないと、銃は絶対に持てない」んだそう
だ。そういうバンドがアルバムで『マニャーニィ・イッド』という曲を歌っている。直訳すれば『子守歌』というタイトルだ。金属と金属がこすれあうような金切り声と、常にモタツキ加減で奏でられる不安定なアルペジオ、そんな曲で誰を眠りにつかせようとしているのか?

イギリスの女流作家にジョシュア・グレイグという作家がいる。翻訳は出ていないから人には薦められないのだが、あまりにも奇妙な物語を書く作家で、イギリスにいるうちは結構読んだものだ。一つよく覚えている話がある。マンチェスターで一人暮らしをしている銀行員の女、もとは声楽をやっていたのだが喉を痛めて辞めてしまった女がいて、その女のところにある日小包が届く。開けてみると、何の変哲もない30cmくらいの水色のホースが出てくる。女は困り果ててしまい、ホースを自分の性器に入れてみた後で、マーガリンを1ダースも買ってきて、全部食べる。次に芝刈り機でホットケーキミックスをかきまぜる実験をする、というところでページ
をめくると、突然別の文章に変わり、まんこにホースを突っ込んだ銀行員の女は立ち消えて、ヨークシャーの自然を称えるのんきな文章が続く。確か結びは、「心を癒す自然とぬくもりに満ちた人々に囲まれて、ヨークシャーの小川は満足そうに今日も流れている」とか、そんなんだった。女とホースはどうなったのか?

僕は多分、明日の朝起きるとオットセイとかイルカとか、何かそういうずんぐりしてつるつるした動物に変わっている気がする。マクベス、悪魔とプリン嬢、金属的なボーカリストと指のないギタリストが奏でる不愉快な子守歌、銀行行のまんこに突っ込まれたホース、満足そうに流れるヨークシャーの小川、これらの事実を総合してみたときに、僕が明日海の獣になっていることは、ほぼ間違いなく確実であると言うことができる。足下に大きな赤いムカデがいる。スプーンをどこかで落としてしまった子ぎつねが、脱法ドラッグをキメて飛んでいる。裏返しても裏返しても数字の見えないトランプ。ワセリンを携帯電話に塗り続けるアルバイト。すごくおいしい
イチヂク。冷えたトマトスープで泳ぐ不眠症の羊。黒いタンクトップを着たスキンヘッドの男が銀色のマグカップでミルクを飲みながらずっとこっちを見ている。いつもそれは、秋くらいになると、少し落ち着いてくる。象は眠るときでも横になることができない。虹が出た朝には、ラース・フォン・トリアーの映画を見てしまう。バブルがはじけた頃からずっとそうだ。ご案内差し上げてもよろしいでしょうか。いいえ、私、ナルコレプシーなんかじゃありませんことよ。素敵なステッキを捨てきれないステーキ人間。気のいい兄弟がずっと姿見の後ろでこそこそ話を続けている。だから僕はあの日は早く帰ると言ったんです、それをおばあさんがどうしてもと言っ
て手まで握ってね、どうしてもと言うものだから。ハート型のエプロンをつけて微笑む豚。ジャングルジムにどうしても登れない、緑色のパーカーを来た子供。どこを探しても出席簿が見つからなかったから、今日はルーズリーフにていねいにヒマワリの絵を描いたものだよ。

こういう無意味な文章をひたすら羅列してみると、それだけで意味が出てくる気がするから不思議だ。文章の意味は、書く側が決めるものじゃない。読む側が、一方的に、利己的に、自分に都合のいいように、決めることだ。

北小金まで来てしまった。

コメント

投稿者:小夏 (2009年08月27日 01:12)

肝臓が悲鳴をあげているかもしれないので、どうか、シジミのみそ汁を飲んでください・・。

投稿者:Kenichi Tani (2009年08月27日 16:47)

シジミ汁を飲むより先にアルコールを飲むのをやめます。