PLAYNOTE 知的で髪の毛固めてリーゼント

2009年07月24日

知的で髪の毛固めてリーゼント

[雑記・メモ] 2009/07/24 01:59

DULL-COLORED POP“大殺界”公演『マリー・ド・ブランヴィリエ侯爵夫人』、稽古について書く前に、CoRich! 舞台芸術!の「観たい!」で頂いたコメントに食いつく俺、触発される自分、煽動される僕。引用させて頂きます。

観た事は無いんだけど、そもそもお芝居自体あまり観ないんですが、あまり外れたことの無い感覚が「おもしろそうだよ」と言ってるから。

あと、なんか、主宰の人の書く文章が自分的に「完全に寄りかかれるセンス」に満ちているので。で、そこから窺い知る(しかないのだが)人物像が「知的で髪の毛固めてリーゼントにしちゃいました」みたいな雰囲気を出しているので観てみたい、です。

知的で髪の毛固めてリーゼント! について。あ、皆様もぜひ「観たい!」ご登録お願い致します。お気持ちだけで俺のたんぱく質が沸騰します。

さて、知的で髪の毛固めてリーゼント。これほど俺の理想を麗しく体現した表現がかつてあったろうか。

賢いもやしっ子。僕はそうはなりたくない。啖呵を切るバカ。これも俺はなりたくない。私がなりたいのは文豪である。文豪とは、闘士である。グラディエーターである。コロッセオなんか21世紀の東京・新宿にはねーけどさ、ほら見ろよ、そこの横断歩道、あっちのコインパーキング、後ろに広がるビル風の路地、どこだってコロッセオになるぜ! 血祭りに上げてやる!

えー、今日の稽古では、エレーヌとオデットのやりとりが大変面白かったです。

僕の演出的身上の一つに、「言葉を信用しない」というものがあります。私は言葉を信じません、では何を? その人の目、身体、音としての声、そういうものにしか確からしさは存在しない。演劇のリアリティは俳優の身体からしか立ち上り得ない。身体なのです、声なのです。

台本は、見たい人には事前に見せてあげたいくらいだが、一ページ目、登場人物リストを観た時点で「お前らバカだろ」と言われるような内容です。参考までに引用すると、

■登場人物

□ゴブラン・ド・ブランヴィリエ家界隈の人々

マリー マリー・ド・ブランヴィリエ侯爵夫人。二十七歳。パリの高等司法官、アントワーヌ・ドリュ・ドオブレの娘。
ゴブラン アントワーヌ・ゴブラン・ド・ブランヴィリエ侯爵。四十歳。代々続く名家・ブランヴィリエ侯爵家の現当主。
デュフィ マドモアゼル・デュフィ・ミュール。二十七歳。ゴブランの愛人。
フラン フランソワーズ・セティミ。十七歳。貧民院にいる少女。
クロード クロード・ボワモルティエ男爵。三十四歳。ゴブランの友人。

ゴオダン ゴオダン・ド・サントクロワ。三十五歳。フランス王軍大尉、騎兵隊長。勇猛果敢の荒くれ者が多いことで知られるガスコーニュの出身。マリーの情夫。
ジャン ジャン・アムラン・ラ・ショッセー。二十歳。ゴーダンの従者。

□ドオブレ家の人々

ドオブレ アントワーヌ・ドリュ・ドオブレ。五十四歳。マリーの父。パリの高等司法官。爵位はないが有力な貴族。
オデット オデット・クレマンソー・ドオブレ。四十五歳。マリーの母。平民の出。
アンリ アンリ・ドオブレ。二十六歳。マリーの弟で、一家の第二子。
エレーヌ エレーヌ・ドオブレ。二十三歳。マリーの妹で、一家の第三子。
マルタン マルタン・ドオブレ。二十歳。マリーの弟で、一家の第四子。
テレーズ 旧名、マリー・テレーズ・ド・ヴィヤルソオ。現、マリー・テレーズ・ドオブレ。アンリ・ドオブレの妻。貴族の出。
パメラ パメラ・マレ。四十歳。ドオブレ家のメイド。

□その他

デグレ ジャン・バティスト・デグレ。三十八歳。フランス憲兵将校。
神父 アルフォンス・ジョルジュ・アンペール。カトリックの神父。三十五歳。

はっきり言って、21世紀の、日本の、東京の劇団が、新作公演でやるような内容じゃない。今のところ、俳優一名、スタッフ一名が、一ページ目を見た時点で吹き出していました。谷、お前は本当に愚か者だな、と。

でもそれでいいのです。俺の演劇の箱舟は、身の安全を守るためのものではなく、人間とは何か、生きるとは何か、そもそも貴様、俺の前でへらへら笑っているお前は何者だ、そういうことを目指して進んでいるのです。トリスウィスキー(日本最強の安酒)で酔っ払ってるから書ける暴言だがな、俺にとって演劇とは、勝算ではなく、挑戦なんだ、今のところはね。

ぺーぺーですよ、ぺーぺー。先日、美術会議がありましたが、やれコクーンだパルコだ世田パブだでやってるスタッフさんたち、俺の十も上なスタッフさんたちとミーティングしてみて、自分のぺーぺー加減を再認識致しました。俺は、この人たちには勝てない。100%勝てない。胸を借りる、心を借りる、助けてもらって歩いていく、そういうところでやってんだ。

ぺーぺーの俺にとって、やれることと言えば、守りに入らないこと、追求すること、髪をリーゼントにして殴りかかっていくことしかないでしょう。そして俺の拳は筋肉ではなく右脳と左脳のマイルドブレンドで推進力を得るわけで、冒頭に引用させていただいた櫻井氏のコメントが如実にすべてを物語っている。知的で髪の毛固めてリーゼント! ちょうど髪の毛伸びてきたからそうしてやろうかな。

と、ここで櫻井氏? だれ? と思ってプロフィール観たら、MCRの主宰さまではないですか。先日、CoRich! 春の演劇祭りで惨敗した、同演劇祭で大賞をお取りになった方ではないですか。残念ながらお会いしたことはないけれど、こういう形で人生がクロスするというのはヘンなものだな。はっきり言って、CoRich!演劇祭での惜敗、残念です。100万円欲しかったです。もう****には行きたくないです。でも、負けは負けなのだから、チャンピオンベルトを切望して、家でオナニーするしかないのだ。まだせいぜいが27の小僧っ子だ。負けて当然、やられて当然、DCPOPの選外(と言っても上位であることは小さな誇り)は残念としても、MCRの受賞には拍手を送りたい。キャリア、経験、つぎ込んできた時間と努力の総和、そういうものが、演劇を育て、アーティストを育て、まぁアーティストは貧乏になるばっかりだけど、何かのきっかけになるはずで、そういうのを俺より何十倍とやっている人たちに、俺は敬意を表します。こんなギリギリの戦いをいつも続けながら、よく何十年もやっていらっしゃる。僕は、戦い抜きたい、勝ち残りたいと思っているが、それには自分はまだ弱すぎる。

と、深夜の咆哮を書き並べていても意味がないだろうから、今後のことを書く。ブランヴィリエ侯爵夫人、キャストがすべて実力派なので、叩けば叩くほど、頼めば頼むほど演技自体はよくなっていくであろう。ほっといても演技はよくなっていくであろう。だが、俺の仕事は演出で、演技指導ではないし、そもそも俺が演技指導する必要があるような人は参加していないので、俺の仕事は演出をすることである。総合的な演出をすることである。それこそが、僕が演劇で演出家をやっている理由であったはずだ。ここまで来たのだから、俺は、勝ちたい。

俺は勝ちたい。何に? 恐らく、自分自身にだ。今の俺が想像すらできなかったような舞台を、今の俺が夢想だにしなかったような舞台を、モリエールに作ることだ。あと三週間、俺の仕事は一心にそこである。あと三週間、俺は苦しまなければならないし、俺は成長しなければならん。俺は、俺が観たいと思う芝居、俺が感動できる芝居が作りたいし、それは、俺が過去に観た数百・数千の芝居を越えるものでなくてはならん。そのための敵は、自分自身である。

いつの間にか金髪リーゼントになっている俺を目にする日が来るかもしれません。僕は、心の中味を少しだけ捨てて、今、稽古場に立っています。睡眠時間やポケットマネーはいくらでも削っています。だからトリスなんか呑んでるんだよコンチクショウめ。僕の最終目標は、今日吉田小夏さんに言ったことですが、世界平和です。とか書くと「あそこの主宰は気違いだから」と言われかねませんが、マジでそうです。世界平和はどこにあるのか? 人を苦しめる根源はどこにあるのか? クオリアはどこにあるのか? 森羅万象のからくりはどこにあるのか? 大日如来はどこにいるのか? キリストの魂はどこにやすらっているのか?

それはお前の心の中だ。俺は何としても平穏と平和、愛と幸福、充実と興奮、そして愛を、手に入れたい。そのためにできる仕事をしなければならない。そのためにそのために、知的で髪の毛固めてリーゼントでいなければならない。

暑苦しくってドン引きする人が多いようです、このブログ。本来の僕は、人前の僕は、大変シャイで物腰が低くビビりで情けない男ですが、俺の脳内はベトナム戦争の湿地戦さながらの混濁と気迫に満ちてます。とりあえず出演者全員に愛してると叫びたいが、それは別に演劇を良くしない。一つ一つ、つまらない地道な努力をするだけだ。

という、トリスが言わせる深夜の咆哮。結局、今日も帰れなかった。新宿三丁目で愛とリビドーを叫ぶ獣より。

コメント

投稿者:櫻井 (2009年07月25日 04:35)

なんだか、テレビで観たことある人が自分のことを喋ってくれたような、本人から遠く遠くはなれた場所で「あいつとはダチだから」と言っちゃいそうな、そんな嬉しさどうもはじめまして櫻井です。
書き込みをしたようにお芝居を拝見したことは無いんですが、ほとばしる脳内言語の大衆化変換と、僕、俺、私、自分という一人称の使い分けにいちいちニヤニヤしながら楽しく読ませてもらっています。
でも、僕、何十年も演劇やってないですよ、21歳のときからだから15年です、やってるか。
ちなみに僕は30歳の時にヒモをしながらなんだか色んなことを騙すためのみに演劇をしていたので、しっかりしなさいと今更言われているようで申し訳無いです。
長くなりましたが、公演楽しみにしています。それでは。

投稿者:Kenichi Tani (2009年08月09日 00:18)

コメントが来ていたことに気づきませんでした。はじめまして、谷です。

酔っ払った勢いで引っ掛かったワンフレーズにぎゃんぎゃん反応してしまった、そういう垂れ流しエントリーですが、不快でなければよかった。嬉しいコメントでした。がんばります。

>僕、俺、私、自分という一人称の使い分け
男でよかった、と思う瞬間です。