PLAYNOTE 演劇芸術助成について語った、その虚しさ

2009年06月28日

演劇芸術助成について語った、その虚しさ

[演劇メモ] 2009/06/28 02:05

何か都庁で文化芸術振興に関係する仕事がやりたいという若駒が話を聞きたいと言ってきたのでほいほいオッケーして、30分のつもりが3時間喋り倒してきた。

そういう意欲を持った若駒になら、多忙な時間を切り売り……っつーか分け与えることは、重要な投資になる。柏での市民劇コーディネートの経験や、劇団やってて耳に入ってくる業界裏話、書籍やネット・新聞で仕込んだ知識、小劇場タイニイアリスの運営に参画していて見えてくる裏事情など、話のネタには困らない。オフレコ交えてあれこれと。

が、3時間喋って虚しさが残る。数々の芸術助成の問題点は指摘した。俺は、この不景気&すっかり下火な演劇ブームの中で、演劇助成のパイを拡大することは難しいと思っているから、どうそれを分配・審査するかに注力すべきだと思っている。演劇教育の問題や、助成金審査にまつわる話、イギリスやフランスの文化行政にまつわる話もした。

が、問題点が山ほどわかっているだけで、解決策は一つも知らない。無力である。柏で市役所や地域の人々と向き合って地域文化振興に関する結構ディープな問題点を体感した、そのエピソードには枚挙がないが、そこに登場する自分は常に敗者であり、無力であった。

お上のカネを動かすのは何かと言えば、数かコネか金でしょう。数って言ったって、じゃあ次の都議選とか衆院選で誰にorどこに投票すれば演劇業界に光が射すのか、誰も知らないし興味もない。演劇業界なんて狭いし金にならないんだから、票田にもならねぇし、どうしたらいいのか。影響力のあるコネがあるようなお偉いではないし、金はもちろんない。こういう仕組みで、こういう問題があって、でも解決策はありません、じゃあ、何も知らないのと変わらない。

が、一つ信じたいのは、知識は無価値ではないということだ。俺一人の知識は無価値だろうが、演劇業界や演劇を愛する人々の間で地の共有や交換ができれば、誰かが名案を思いつくかもしれないし、何か問題が起きたときに対処できる。今日俺は彼を、文化行政に携わろうとしておきながら、ほとんど無知であることを苦々しく思い、一言釘を差してはおいたが、本もない、新聞にも載らない、身近に誰も知る人がいない隠された問題点を、どう知ればいいと言うのか、と思うと、やはり脱力感を感じた。それは彼の責任ではない。事実、紹介できる&信頼のおける書籍も数冊しかない。

この先どんどん不景気になり、演劇業界もどんどん苦しくなっていくと思うが、どうやって演劇を志す人間に夢を見せるか、というのは、俺ごときが解決できる問題ではないかもしれないし、そもそも作家と演出をやりたい自分の専門ではないんだが、知るべき問題であり、考えるべき問題であることもまた間違いない。

やばいやばい言っていてまともなオピニオンを提出できない俺もふがいないが、誰かオピニオンリーダーが欲しいと思うのもまた確かだ。自分は作り手側なので、客観的かつ公平無私に演劇会を俯瞰することはできないと思う。そういう論客が出てきてくれればと願うと共に、議論を活性化させることくらいは担わないといかんと思う。

もやもやと電車の中で書き綴ったものをそのまま掲載しました。