PLAYNOTE PEACE / 27

2009年06月13日

PEACE / 27

[お出かけ・旅行] 2009/06/13 01:47
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魔法使いと旅に出る。混乱都市SHINJUKUから旅に出て、カエルの治める国で泉を浴びた。その晩、カエルの王国の客室で、やけにシビアなおとぎ話を聞き、僕は何だか裏切られた気持ちがする。おとぎ話はおとぎ話で、夢や光を子どもにくれればいいじゃないか。が、考えても見れば自分はもう大人だ。ハッピーエンドのおとぎ話が欲しければ、自分で書くしかないのだろう。

考え込んで天井を見つめていると、ピンクの目をした子鹿が現れて、クー、クー、と鳴いている。自分の幸福の物語より先に、この、道に迷い、毒を食べた子鹿に素敵なお話をしてやろう。この子鹿をこの暗い森から連れ出すことができたら、自分も安心して家に帰れる。子鹿を連れて家に帰り、大学ノートに世界で最高のおとぎ話を書こう。

そう考えたところで夢から覚めた。結構いい天気だった。

今日の日記と、そう言えば書いていなかった27歳になっての感慨を少し書く。

今日はなおちゃんと一緒に当たりご飯を食べてから、六本木ヒルズ森美術館にて『万華鏡の視覚~ティッセン・ボルネミッサ現代美術財団コレクションより~』なんていうよくわからないタイトルの展覧会に行った。写真はアイスを食べるなおちゃんと、ヒルズに展示されている巨大なバラ?と、アイスを食べるなおちゃん。素晴らしい笑顔だ。アイスはたぶん左翼団体よりよほど世界平和に貢献している。

万華鏡の視覚~ティッセン・ボルネミッサ現代美術財団コレクションより~

で、『万華鏡の視覚~ティッセン・ボルネミッサ現代美術財団コレクションより~』だが、最高によかった。これは必見と言っていい展示です。見終わった後でもどういう展覧会だったか今ひとつうまく説明できないのだが、

光、色、音、言語、概念、コミュニケーション。視覚だけでなく、聴覚や触覚など、人間のさまざまな感覚をあらゆる方向から刺激する作品と出会い、現代アートの醍醐味を体感してみませんか。

ということらしい。わくわくする空間、はっとする光景、美しい世界、艶やかな音。置いてある美術品を見る、というより、空間の魔法を感じる素晴らしい展覧会。

例えば入ってすぐの真っ白い壁に「I dream of sleep」だったかな? ネオン管で描かれた短いポエムが書いてある。眠る夢を見る。何だか素敵な言葉だがどういう意味だと考えながら左を向くと、広大な真っ白い空間に、蛍光灯を集めて作った巨大な円柱が四本ほどドンと立っている。もうこの時点でノックアウト。

その後も、LSDの泉や、四方八方から音が聞こえてくるテーブル、ビニールテープで彩られた床、8~10台のミラーボールで彩られた異空間、吹っ飛ぶ瞬間のレンガ塀のモニュメント、農園を潰してできた飛行場の悲しさを描いたポップアートなど、美術品というより美術空間が続々続く。中でも特に印象に残ったのが、空中から吊るされた丸い板が二枚回っていて、それにマジで劇場とかに置いてあるような凸レンズの灯体が光を当てているだけなんだけれど、光彩や色味が常に変わり続ける魔法のようなオブジェが置いてあって、というアート。「わぁ」である。

観ていてすごい、アートすごい、と感じるが、これは演劇でもやれることなんだよなということに気づく。空間演出だけでなく、言語芸術、身体芸術も混じっている演劇は、これよりも雄弁になり得ることがあるのだ、と気づいて、少し希望を感じた。次の公演、頑張ろう。

DULL-COLORED BBQ

二子新地にてDULL-COLORED BBQ。金髪ブタイ野郎(これいいネーミングだな)の慧ちゃんがバーベキューセットを持ってきて、ゲリラバーベキュー。

古株では尊師からショート7出演者まで、人数的にはそれほど多くないが懐かしく愛すべき人々がわんさか。ただ肉を食う、花火をする、遊んでるんじゃねえよと思われるかもしれないけれど、DCPOPは稽古後の飲みも最近ではめっきり減って、公演が終わるとみんなで遊びに行くような暇もなく次回公演の準備となることが多かったから、かなり貴重な時間であった。

涼くんとハマ子と演劇トークをやったが、涼くんはチャラいように見えて怒りに満ちた演劇人で、ハマ子はか弱いながら演劇神の前にひれ伏す巫女のような魂を持った女で、その隣でニヤニヤ笑っている俺はルサンチマンと怒りを溜め込みすぎてどうにかなりそうな自爆男である。高架を渡る鉄道の音に紛れてよく感じ取れなかったが、しっとりと更けゆく夜の感触に、自分が青春をとうに終えて老人の仲間入りをしていることに気づく。どういう風に背中を作ろうか。

なっちゃんは明日も明後日もJACROWの稽古だと言っていた。何気にかなり楽しみにしている。

27歳になって

もう一ヶ月も前の話だが、27歳になった。バタバタしていて、誕生日を祝ってもらった歳にやったーとか思った以外は特に何も思わなかったのだが、人に「27です」と言う機会が増えて、ようやく実感が沸いてきた感じ。

昨年も目標らしい目標も立てず、と言うか、一年の目標は正月に立てた方がいいのか誕生日に立てた方がいいのかわからずやってきたが、26~27の一年間は、DULL-COLORED POPは三つの本公演をやった。多くね? 『小部屋の中のマリー』、『JANIS -Love is like a Ball and Chain-』、『ショート7』。他にもCoTiK『源氏物語』で作演を執ったし、Mrs.fictions『15 minutes made vol.5』に参加したりした。他にもいろいろやったけど。でもどれも代表作と言っていいくらい、美しいものが作れた。ご協力下さった皆様、観に来てくれた皆様、どうもありがとうございました。

今、僕の環境は大きく変わりつつある。自分みたいな根無し草が、小劇場界でそれなりに顔が通るようになり、作品を愛してくれる人が増えつつある。だからこそ、原点に戻って、ストイックに自分の観たいものを作るということをやらなければならないと思う。牙を抜かれたら野犬は野垂れ死ぬか保健所に収容されて終わり、やたらと噛み付けばすぐ銃殺されて終わり、狩りをやめて休めば飢えと忘却に殺される。変わらないことが一番大事と思う反面、自分の周囲にいてくれる人々の価値を、胸の奥で崇めるだけじゃなくて、口に出して唱えようと思う。

人間的な出会いで言えば、チェリーブロッサムハイスクールの小栗剛氏、青☆組の吉田小夏氏など、作家的に超尊敬みたいな同年代の人たちに出会えたことが嬉しい。いや、二人とも自分より先輩なので、出過ぎた口はきけないが。他にもいい作家・演出家と親交が持てた。俳優との出会いは多すぎて書ききれない。スタッフさんもそう。で、そういう意味で言えば、本当に大きく周囲が変わりつつあるのだろう。

だからこそ、昔からの人を大事にせねばならん。もう旗揚げから三年半一緒にやっているなっちゃんなおちゃんに、御用スタッフの皆様や、そして父ちゃん母ちゃん。次回公演は少し椅子のいいシアターモリエールなので、父ちゃん母ちゃんも呼べるし、上記の人々にも少しは鼻の高い思いをしてもらえるだろう。ハコのサイズは作品内容とは無関係で、アールコリンで1500円の芝居がPARCOで1万2000円の芝居より面白いなんてことはザラにあるが、何にせよ、昔の自分にはできなかったことがやれるようになっている。これは幸福だ。

27歳のもう一つの目標は、経済的にもうちょっと余裕が欲しいということ。一人暮らししたい。

John Lennon『Only You』勝手訳

もう10年前に知った曲だが、イギリスにいるときよく聴いていた。この間ふとした瞬間にiPodのシャッフル再生で聴いて「これだ、これは素晴らしい」と思ったので、訳しておく。確かリンゴ・スターがこの曲をカバーする際に、ジョンに歌い方を相談して、ジョンが歌ってあげた…というような来歴のある曲だったと思う。

去年も思ったことだが、ジョンが歌ったようなストレートでシンプルで力強い言葉が書きたい。

Only You

君だけが
歪んだ世界を直してくれる
君だけが
暗闇に光を差し込ませてくれる
君だけが ただ君だけが
僕の心を動かして
そして満たしてくれる 君への愛で

君だけが
僕を変えてくれる
君だけが
僕の本当の運命
手を繋ぐと感じる
君は僕の魔法
君は僕の夢
世界で一人だけの君

たぶんこれ歌ってたの三十代後半か四十のときのはずだが、よくもまぁって歌詞ではある。でも、ジョンにはヨーコがいて、ソロの暗黒時代を乗り越えて、そして死ぬ前にこういう歌を歌っていたというのは感動的だ。俺はジョンの全部が好きだが、特にビートルズの後期と人生の最後が好き。