PLAYNOTE 江戸東京博物館『手塚治虫展』

2009年05月22日

江戸東京博物館『手塚治虫展』

[映画・美術など] 2009/05/22 01:14

手塚治虫のまとまった展覧会なんて行ったことないので行ってみた。

手塚治虫が他界したのは平成元年、俺は小学一年生。亡くなった時期からしても、業績からしても、俺の感動っぷりからしても、雲の上の人である。そんな人の手書き原稿がずらり百数十点も展示してあって、「神様は本当にいたんだ」という感じがした。

驚いたのが手塚治虫の小さい頃のノート。小学三年生とか六年生とかのとき、虫をスケッチしたものが残っているんだけれど、あまりに細密かつ正確で印刷物を見ているよう。

そう、印刷物を見ているようなのだ。見慣れたヒゲオヤジやアセチレン・ランプがガラス越しにコマの中で踊っていて、印刷物を見ているような気がするんだが、よく見ると鉛筆の消し後や粗く塗ったホワイトのあとなんかが目に入ってきて、ようやく信じられる気がしてくる。手塚治虫は実在したのだ。

もともと多作かつ幅広い作風で知られた人で、俺もそれは重々承知で観に行ったのだが、生涯かかって書いた何十作という作品の原稿が一同に並べられると、本当に彼の偉業に驚かせられる。

だが、最後になんとあのやなせたかしが書いたこんなコメントがあって、少し気持ちが救われる。

ぼくが学んだのは、手塚治虫の人生に対する誠実さである。才能は努力しても、とてもかなわないが、誠実であることはいくらかその気になれば可能である。もちろん遠く及ばないにしても、いくらかは近づける。
手塚治虫氏はその意味でぼくの人生の師匠である。

by やなせたかし

手塚治虫を天才だ神様だ言って雲の上に持ち上げるのは簡単なんだろうけど、彼の仕事量、その濃密さ、戦闘的とすら言えるスタンスを忘れちゃならない。彼の才能は、彼が自ら手でつかみ取ったものなんだよな。虫プロ時代に一緒に仕事していた富野由悠季も、「手塚先生のようになりたかったら、とにかく手を動かせ。人よりたくさん描け、仕事しろ」と、手塚の猛烈な創作スタンスを語っていた。

仕事します。すいません、手塚先生。頑張ります。頭が上がらない。しかし、いつか書斎に手塚治虫全集を並べたいものだ…。