PLAYNOTE サンプル『通過』

2009年05月19日

サンプル『通過』

[演劇レビュー] 2009/05/19 02:12

青年団リンクが産み落としたエイリアン、劇団サンプル・松井周氏の処女戯曲を再演。三鷹星のホールにて。

お話は、ちんこ切り落とされちゃった男が退院して、妻と一緒に暮らし始めるんだけど、あり得ない形で突然妻の兄が帰ってきて(いつの間にか座ってて「よう」とか言う)、何か自分ちでリサイクル業者とか始める。二階に寝てるお母さんに許可もらったから、と言って、あれこれ勝手なことを始める。妻は浮気をしている。ハリボテをつけた夫のセックスには応えようとしない…。

あまりに不条理、それでいて、不条理をさも当然のことのように描くので、観ていてかなり嫌な気持ちになれる。これが処女作、しかもほぼ書き換えなしって言うからエイリアンだ。

アフタートークでご本人が、「思ったよりストーリーがちゃんとあってびっくりした」って言ったら、それを聞いた岩井さん(ハイバイ)が「これで!?」って逆びっくりしていた。確かに「これで!?」だけど、まぁちゃんと人間関係の推移は見れるし、二階にいるお母さんとか暗示的な感じもするし。

岩井さんがこの本を、妻の視点から見て、「どの物語にも所属できない人の話」と形容していたのが面白かった。うまいこと言うなぁ。僕は旦那さん中心に観ていたので、不能やコンプレックスが世界を歪めていく様とか、ちんこってやっぱ大事だよねとか、男の生活や仕事に関する自信や活力とセックスに関する自信や活力ってのはすごく近いものだよなとか、そういうことをもやもや感じながら観たが、全体的に不快であった。いい意味で。

「いい意味で」って書くと何でも書けちゃうけど(例:お前デブだな、いい意味で)、これはいい意味で不快な演劇だった。本当に。小劇場界隈にも様々奇人変人キチガイさんがいるけれど、松井さんはトップレベルでそんな気がする。ただすごくプライベートはいい人みたいだ。

(またアフタートークになっちゃうけど、松井さんの「やってみたい役」が衝撃的であった。床になりたい。床になって、その上で女子中学生とかにバレーボールとかやって欲しい…)