PLAYNOTE イキウメ『関数ドミノ』

2009年05月19日

イキウメ『関数ドミノ』

[演劇レビュー] 2009/05/19 02:02

すっかり中堅劇団としての安定感を得た感のあるイキウメ。赤坂RED THEATERにて。

本人の願った通りに周りの現実をねじまげたりすりかえたり作り上げたりできちゃう「ちっちゃな神様」=「ドミノ」をめぐるお話。えらい面白かった。

何でも願いの叶っちゃう「ドミノ」という発想自体は別に新しくもないかもしれない、安直であるかもしれない。が、前川さんの筆のすごいところは、そういう小さなSFを持ち込むことで、人間の心の動きをまるで目に見えるもののようにはっきり現前させるところなんだ。

今回も、「ドミノ」という設定を持ち込むことで、ある人間の周囲にたむろする人々の願望や欲望がはっきり見える。自分の病気を治したい、焼き肉食いたい、女抱きたい、誰か人のせいにしたい。「ドミノ」を通してそれがあるときは実現し、あるときは実現しない。人間の内面をいかにして伝えるか、どうやって形のないものを形あるものとして描くか、そういうのが演劇だとしたら、イキウメの作品は驚くほど高いレベルで「演劇」している。

作中にあった「本心って何だ?」の問いの答えが面白かった。「欲望だよ」、と。それは、作中、非常に大きなキーを担うことになるある男が発する台詞で、かなり精神がねじまがっちゃってる男の言葉なので、額面通りには受け取れない、批判的に見た方がいいのだろう、でも、世界をそういう風にも見れちゃう人だから、あったかい話も冷酷な話も書けるのだろうな。

えらい面白い芝居でした。