PLAYNOTE 観劇記録など

2009年02月01日

観劇記録など

[演劇レビュー] 2009/02/01 10:05
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サンプル『伝記』ほか、最近観た舞台の観劇感想メモ。

猫の会『クツシタの夜』

この視点は個性だ。間隙を描く独特の空気感。カフェオレみたいでおいしい。役者さんが皆魅力的で会話がよく噛み合っていてゆるりと観れた。相変わらず素敵でコミカルな大塚さんに加え、石井舞さんという役者さんが大変印象に残った。

劇団銀石『写楽コンプレックス』

柿と比べられることが多いようだが確かに似ているスタイル。内実は柿・中屋敷のニヒリズムとは正反対のロマンチシズム。若いが鍛えられた役者が多く納得。特に樋口雅法、斉藤マッチュ、埜本幸良、浅利ねこ、寺田千晶さんなどが好印象。

脚本的には野心に満ち自分の文体を貫いている点は◎だが、描こうとしている情緒に対してプロットがとっちらかった印象があるのが残念。しかし視野の広さと几帳面な真面目さが感じられ、次に期待と思わされる。

toi『四色の色鉛筆があれば』

演出っていろんなことができるよ、というのをあれだけ並べられるとさすがに平伏する。空気感もおしゃれ。一本目、「あゆみ」からして作家の性格が滲み出ており共感を呼ぶ。二本目、「ハイパーリンくん」はラップでなければ。三本目、「純粋記憶再生装置」もトリッキーだが実によくできた本。どんどん再演されるといい。ワークショップや俳優訓練の題材なんかにも使えそう。四本目、「反復かつ連続」は、発想もすごいが構築の丁寧さが素晴らしいと感じた。いい役者さんがガンガン出ていた(ロビーにもたくさんいた)が、演技者の顔より演出家の顔が多く浮かんでくる印象だったのは残念。

サンプル『伝記』

物語の不確かさ、ひいては物語的動物である人間の不確かさをゴリゴリ直感的に描き出す舞台。内容よりも、手法の混沌とした感、連想と衝動で突き動かされていくような展開上の手法こそが、この物語の本質を描いているように感じる。物語を楽しむ本ではないし、カタルシスも得られないが、そういう手法であれだけポップであるということ自体が奇跡的。