PLAYNOTE 演劇的に観てもオバマ演説はすごい

2009年01月21日

演劇的に観てもオバマ演説はすごい

[演劇メモ] 2009/01/21 23:32

家に帰ったらバラク・オバマ新アメリカ大統領の就任演説でどこもかしこも話題が持ち切りだ。例の有名な若きスピーチライターの才能も大したものだが、オバマ自信の話術・プレゼン能力も尋常ではなく高い。演劇って結構、プレゼンやコミュニケーション能力の開発に効果があるからってんで、欧米はもちろん日本でも研究と実践が進んでるんだけど、そういうのを仕事にしている自分が観てもいい役者っぷりであった。

基本中の基本だが、目線の配り方にまずソツがない。客席上手から下手へほぼ均等に目線を配っている。抑揚のつけ方もうまい。これは強調のための倒置や反復、対比の使い方がうまいスピーチ原稿にも原因があるんだろうけど、ああして目線と身振りでパフォーマンスしながら、かつ言葉をあれだけ粒立てて発しながら、ああいう味付けをするってのは想像を絶する難しさだろう。第一、あれだけ滑舌がいいって、ちょっと驚くべきことだよ。

間の取り方も絶妙。突き落とすように不安感を煽る話題・鋭い単語を並べておきながら、ぐっと間をとり、視線を落とした後に、再び聴衆をやや仰ぎ気味に見据えながら平易な表現で希望と決意を語る辺りも小憎い。どういう教育受けたらこういうことできんだろ。単にセンスがいいとか場数ってだけじゃないはずだ。

思えばブッシュも当初はかなり演説で票をかっさらっていたように記憶しているが、違ったかな。確かバカにも通ずるクソ平易な演説で中流以下と保守層の支持をがっと集めていた。あれはあれで正解。ターゲットに合わせて単語や表現を選ぶ、大事な言葉のマーケティング。

日本の政治家で、こういうスキルが高い奴って、今んとこほとんど出てないんだよな。小泉は上手かった。麻生も途中まではそこそこ見応えのあるパフォーマンスをやっていたんだが、今じゃ萎れ切ってしまったし。安倍・福田は論外。野党で酷いのは小沢だと思うんだが、あの仏頂面の演説下手で党首をやってられると言うんだから、いかに日本とアメリカで政治家に求められているものが違うかがわかる。日本は調整力、アメリカは代弁力と言ったところか。

オバマは今後、支持率が落ちたときにどういう演説をするかが楽しみだ。ああいう自信と尊厳に満ちたスピーチができなくなった頃に(どうせ支持率は落ちる)、どんな顔をするんだろう。役者として一流か二流かは、そのときにわかるはずだ。