PLAYNOTE 大槻ケンヂ『のほほん人間革命』

2009年01月07日

大槻ケンヂ『のほほん人間革命』

[読書] 2009/01/07 03:59

Windowsの再インストール&セットアップにかかる気の遠くなるような時間(もう六時間くらい経ったぞ、フォーマットに何時間かかるんだ)の片手間に本を読もうと思ったけれど、五分おきくらいにキーボード叩かなきゃいけねーから今読んでいる二冊((再読の『反解釈』といただきものの『サド侯爵の生涯』は読めない。集中力が足りない。で、積ん読棚にあった古本屋100円のこいつを手にとって読んだんだが、えらい面白い。

まずタイトルがとんでもないが、気にしちゃいけないんだろう。内容は、合法ドラッグ、ノーパン喫茶、UFOの話、タンキング、盗聴など、サブカルの領域をさらにはみ出して、頭のおかしい題材ばかり。

題材がイカれていても、大槻ケンヂの料理の仕方がうますぎるから内容的には実に健全で口当たりマイルド。巻末の解説で山本弘氏が「題材はゲテモノだが料理がうまい」と喝破している通り。ユーモアのセンスと飾らない文章力は、恐れながら山本弘氏のちょっと茶目っ気を出した解説と比較すると一目瞭然。それまであまりにハイセンスなブラックユーモアに慣れきった数百ページだったから、山本弘氏の文章が粗末に見えてくるほど。単独で読めば決して悪い文章じゃないのだろうけど、オーケンの後に並べる文章を書くなんて、分が悪いにも程がある。

笑える、というだけでなく、知的好奇心をぎゅんぎゅん刺激してくれる良箸でもある。本当に、こんな知識量を一体彼はどこで手に入れたんだろう。歴史から精神医学、音楽はもちろん、プロレスの話題まで引っ張ってきて、それがすべて聞きかじりじゃない、血肉になった知識という感じ。ずいぶん受ける印象は違うが、確実に第一級の知識人であり、遊び人である筆者。面白い。

もう十五年以上前に書かれた文章だから、オーケンもずいぶん落ち着きがないと言うかヤンチャと言うかな語り口で、自筆の文庫本後書きでちょっと若気の至りを照れているくらいだけど、俺のような冒険と反逆と無茶とやんちゃと解脱にあこがれる若者とちょうど似通ったセンチメンタリズムと好奇心を持っていた頃だから、かえって共感が沸く。タンキングというカプセルの中に何時間も閉じこもって無理矢理神秘体験をする装置に挑戦したりしているが、俺も是非やってみたいし、その中で思い出す昔の女とのセンチメンタリズムなんか、共感しきりだ。コムリねぇ…。(←猫の名前)

Windowsのインストールが終わらないものだから、かつ本著があまりに面白いものだから、一気に読み切ってしまった。読み捨て系のライトエッセイだろうと高をくくっていたが、むしろ数年後に再読したいような濃密さであった。読みやすいので万人におすすめ。