PLAYNOTE 国道58号戦線『国道58号戦線異常なし』

2008年08月30日

国道58号戦線『国道58号戦線異常なし』

[演劇レビュー] 2008/08/30 13:39

僕と彼との繋がりは同じ明治大学の出身というだけで、在学中は一緒に甲州街道を歩く夜が一度きりあっただけで、ほとんど接点のなかった友寄総市浪くんが主宰する国道58号戦線の新作。DULL-COLORED POPにもよく出てくれているハマカワフミエ子や、まだまだ23歳という若手ながらネジの抜けた怪演をする福原冠、端正な顔立ちで馬鹿もマッチョもクールも演じる伊神忠聡など変てこでポップで個性的な劇団員を擁する注目株の劇団で、今回はポストパフォーマンストークのゲストをやらせて頂きました。

沖縄のぐずぐずした若者たちが、勢いだけで沖縄独立宣言をやらかしてしまった、という骨太で荒唐無稽だが妙にハートウォーミングでロマンと青春にあふれる変な芝居。友寄くんは俺とそう変わらない年の(つっても実は三つ下だってことに今回初めて気づいたんだが)作家さんなのに、壮大なテーマやロマンや野心を演劇の中に持ち込んでおり、スケールが小さくないがバランス感覚がよく観ててイタくない、という意味で稀有な才能であると思う。

沖縄独立宣言! 平和などもう叫ぶな! などとチラシに書いてあるからどんだけスケールでかいんだよと思って観に行ったが、何と75分程度で芝居は終了。スケールのでかいことを、市井の人々、その辺の大学生や若者のレベルに落とし込んで描いており、主義主張やアツい思いのようなものを殺しているわけではないのだが、クサみがなく観られる。ギャグを入れたりテンポを変えたり抜いたり外したりと緩急をきちんとつけて観やすい75分。

福原冠の静かなんだが明らかに一番狂っていて圧力のある芝居は大変よかった。ハマカワフミエ子は肩の力の抜けた普通の女の子をリラックスして演じており、今までの化け猫のようなイメージと打って変わってキュートな仕上がり。伊神くんはちょっとどうかと思うくらいクールで聡明そうなキャラであったが、彼にこの役を振る配給眼は良いと思う。ツラがいいしマッチョなイメージがある彼に妙にマッチしておった。正劇団員の三人が存在感のある演技を示せている辺り、劇団として未来が明るい。謎に客演していたLiveUpCapsules主宰のむらたんは、アクだらけの役なのに妙に抜けた雰囲気を持つ演技で良かったのである。

PPT(ポストパフォーマンストーク)では差し入れた焼酎を二人でラッパ飲みしながらトークをしたが、20分があっという間で聞きたいことの半分も聞けなかったのは残念。割とウケはとっていたので、つってもPPTでウケをとってどうするんだという気もするが、楽しめてやれたのはよかったな。彼とはあと一時間くらい話しておきたかった。残念。