PLAYNOTE Mrs.fictions『15 minutes made vol.4』

2008年08月30日

Mrs.fictions『15 minutes made vol.4』

[演劇レビュー] 2008/08/30 12:56

「話題の団体を一堂に集め、15分ずつの短編を上演」する15 minutes madeの四回目。確かvol.1から噂と評判は耳にしていたのだが、今回初観劇。次回のvol.5にDULL-COLORED POPも参加させて頂くので、その下見も兼ねてと思って行ったら、えらい面白いものがわんさか観れて逆にたっぷり満足して帰って来た。

まずトップバッターの「横浜未来演劇人シアター」が目玉が飛び抜けるほどに面白かった。久々に小劇場で「アート」の領域に片足突っ込んでいるものを観た気がする。ハマのメリーさん、という老娼婦の死を描いた作品だったが、俳優の歩き方からアンサンブル、音響、照明から空間の使い方まで、演出が隅々まで行き届いており、一部の隙もない。わずか15分足らずの時間でまるで異次元の夢を見たよう。元々はダンス公演だったようだね。それをぎゅっと圧縮しての今回の15分。もう、冒頭に老娼婦が腰を九十度近く折り曲げてうどんの椀を運んでいる絵が出た瞬間、背筋におぞ気が走ってすでに俺は魅了されていた。こういう演劇の力を、現代人はもう一度思い出してもいいんじゃないかな。

他に特に素晴らしかったのが「アイサツ」。演劇部の稽古風景を客観的に観るととてもシュール、という、何かハイバイっぽい着眼点で描かれているんだが、一挙手一投足が面白くて笑い続けた。いるいる、こんな奴、の連続で、しかも演じている人々が皆様達者なものだから、本職のお笑い芸人より笑える舞台を作っていたように思う。この展開はヤバイ、歌ってごまかすに違いない、と思っていたら案の定歌ってくれて満足(笑)。

横浜未来演劇人シアターとアイサツに至ってはほぼパーフェクトな出来で、飽きたり引いたりする瞬間が全くない十五分間であった。すごい。

と書くとこの二作が突出していたような印象を与えかねないが、そんなことはなく、全体的にクオリティが高かったのが良かったんだな。
青春事情のくだらなさ全開、無添加くだらなさ100%のコントめいた一幕は、古臭い感じがするものの裏を返せばオーソドックス、横浜未来演劇人シアターとのギャップに驚いたが、客席もリラックスして観ていたようだしいい打順だったのかもしれない。青春事情の面々を久々に観れたのも嬉しい。
elePHANTMoonの小品は、永山智啓×岡田あがさというおいしい二人組み。案の定後半でグロっと来たが、そういうグロ描写に対する感覚の鋭さよりも、今回は、実はelePHANTMoonはきちんと会話や関係を描いてからそれをぶっ壊すという意味で、基本を本当にきちんと抑えている創作集団なのだなと感じた。あがさ嬢の配役は神がかっている。
あひるなんちゃらのゆるーい笑いは相変わらずだが、ゆるーい笑いを生むためにきちんきちんと隅々まで計算されている脚本と演技には脱帽する。相撲→見合いとか、ここで笑ったら負けだ、と思うが笑ってしまう。こちらもキャスティングのセンスが素晴らしい。MCRの上田楓子嬢の醸し出すかまぼこのような雰囲気とムード(わかるかな?)が最高であった。
ラストを飾るMrs.fictionsの短編は、黒川深雪嬢演じるロボットの女が鳥居みゆきに見え始めてから自分は自分を見失っていたような気がする。が、家族とか情とか愛着だとか、そういう、「ねじ式(未来編)」と銘打ってはいるものの、どこまでも昭和的なノスタルジーを発する人情劇を丁寧に作ろうとしているのだろう。他の団体の個性が強過ぎたがために、割と普通のお芝居という印象になってしまったのが残念。

いろいろと書いたが、よくもまぁこんなに面白い団体を集めたわね。そしてそれぞれの団体がよく15分という枠をわかっていらっしゃる。笑いVSシリアス、現代口語演劇VSその他のバランスもよかったし、小劇場詰め合わせとしては本当にお中元にでもして演劇を見たことがない会社の上司にでも送るといいんじゃないかって感じのラインナップであった。

来年はこれに参加するわけだが、緊張するなぁ。。。頑張ろう。