PLAYNOTE 柿喰う客『真説・多い日も安心』

2008年08月24日

柿喰う客『真説・多い日も安心』

[演劇レビュー] 2008/08/24 17:52

若手(20代)劇団の中で、異様なクオリティ、異様な個性、異様な人気、異様な将来性をバリバリと感じさせる劇団・柿喰う客の過去作品の再演。再演と言ってもずいぶん手を加えているようだが。吉祥寺シアターにて。

当日パンフレットを開くと出演者の80%以上がAV監督かAV男優かAV女優でいきなり吹く。「しこって」→「始皇帝」という発想力もとんでもないが、大半AV業界人っていう凄まじい設定をへいちゃらでやれちゃう劇団はそうそうない。

大体ずっと高いとこにいた三人、深谷由梨香・七味まゆ味・玉置玲央の三名がきっちり場を掌握しており、その下で劇団員高木エルム・半澤敦史プラス客演陣がそれぞれの個性を暴走させる構図が好きでした。特に深谷・七味・玉置三名は、よーく考えると全く他の連中と馴染まないくらいに鋭利で暴力的でかぶいており目が離せない。この三人だから驚かないってだけで、俳優としての鋭さと熱量はよく考えるととんでもない。吉祥寺シアターに全く気圧されない、「あれ、ここ王子だっけ?」と思うくらいに空間を掌握している姿はさすがである。

相変わらず現代口語演劇とかリアリズムとかクソ食らえな姿勢で演出されており、そこんとこの満足度はいつも通り。ややハコのサイズに技術が追いついていない人がいたのか、聞き取りづらい台詞が随所にあったが、勢いだけで首まで持ってくようなスピード感があるから、大して気にならなかった。

くだらなさ全開で実に柿らしかったが、脚本的にややユルい感じがしたのが残念。柿はいつも、ネタや空気感にあえてユルユルなところを作りつつも、劇構造や空間演出がギッチギチに完成されており、その中で遊ぶ安心感のようなものがある。前回『俺を縛れ』でも、前半の伏線や関係や個性が後半でぎゅーっと収束していく感じがあって心地よかったのだが、今回はやや場ごと場ごとのお芝居であり、投げっぱなしのエピソードが多かったのは残念だった。

サライや下半身タイガースも、斬新奇抜でかつ馬鹿馬鹿しい創意工夫が見られず、消化不良。特にサライは歌ってるだけになっていたのは何故だったのだろう? 「この後何が起こるんだろ」と思っていたら終わってしまった。下半身タイガースは「半ケツ二人(いつもの二倍、しかも玉置以外の人間が)」ってことで最初はぐっと来たが、半裸であることが今一つ腑に落ちず。いつもは劇の構造やお約束からはみ出した玲央くんが、がーっっと全体をぶち壊すアウトサイダーとしての立ち位置だから、半裸だろうが半ケツだろうがその脱線具合が面白かったのだが、今回はきちんと物語の枠内に収まっている感じで、半ケツとしては暴れっぷりが物足りず、登場人物としては半ケツが出落ちみたいに感じられてもやもやした。

今回は急遽、柿喰う客を一度も観たことがない友人を当日に一人誘って行きました。友人といっても僕の大先輩なのだけれど、柿は「何か珍しいことやってる劇団」なんかではなく、そういう人を連れて行って安心できる劇団であるから、連れて行きました。今回の作品は、俺の中では過去の柿作品と比べるとややがっかりな内容ではあったが、それでも柿は観ておくべきだし、俺もこれが初観劇だったら衝撃を受けていただろうな。

衝撃と言っても下ネタやスーパーフリー感だけじゃない。やはり中屋敷くんの演出は鋭くて冷徹で好きである。今回、一番よかったシーンはどこ、と言われたら、冒頭&ラストと、玲央くんが深谷さんを堕胎させるとこ、そして最後の七味嬢の独壇場シーンであったと思う(七味さんは前回も前々回もよかったが、今回が俺の中ではベスト・アクトかもしれない)。ああいうコントラストの描き方、ぐっと暗くて冷静なところ、作家・演出家として飛び抜けて賢いところがあるからこそ、柿は化け物劇団だと思っている。全員でティッシュ持ってるシーンも馬鹿馬鹿しさのゲージが振り切れていて印象深いが、これは余談。

繰り返しになるが、今回は柿としては最高傑作ではないけれど、向こう一年本公演もないようだし、是非観ておいて損はない劇団です。柿をまだ観たことがなくって、怒涛の下ネタに引いちゃわない人は、一度是非観てみて下さい。

コメント

投稿者:search engine optimization vancouver (2012年01月13日 06:18)

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