PLAYNOTE 柿喰う客『俺を縛れ!』

2008年06月28日

柿喰う客『俺を縛れ!』

[演劇レビュー] 2008/06/28 00:43

現代口語演劇とは違う方向性ながら、完全に若手のトップランナーになりつつある中屋敷法仁率いる柿喰う客の新作本公演。王子小劇場にて。

柿は昨年の『誰も笑わない「検察官」』(@レッドシアター)、『性癖優秀』(@モリエール)、『傷は浅いぞ』(@王子)、『親兄弟にバレる』(@お台場)と観続けているのだが(あとリーディングの『ひとさまに~』もか)、今回は食い足りなかった。多分、新しい要素が発見できなかったからだろう。ただ、脚本的には『性癖』や『傷』の方が格段に良かった。設定もわくわくしたし、展開にもバックドロップが効いていた。今回も、江戸時代をまとめて全部パロってるとことかは凄いし、トレンドを片っ端から取り込もうとしてるとこなんかは柿らしくて大好きなんだが。

俳優陣はいい仕事している。コロ氏・七味嬢の不必要なまでのアグレッシブさがいい。別に芝居の芯ではないはずの二人なのだが、何か格の違いを見せつける好演。特にコロ氏のギャグが最高であった。こいちゃんは意外とノっていたように見えて楽しんで観れました。あちこちで評判の佐藤みゆき嬢は、所属劇団であるこゆび侍の評判を一気に押し上げた格好。俺も観たくなったもの。そして主役の堀越氏。相変わらず凄みのある好演、怪演。大好きなんだよこの人。そう言えばは『性癖~』でも『検察官』でも玲央くんとペアを組んでいたが、この二人相性いいんだろうな。ただ、ちょっと見飽きた感はある。

そう、見飽きたってだけなんだよな。柿は圧倒的に斬新だし、秩序のある現代口語演劇にドロップキックを食らわせていて愉快痛快だし、キャスティングのセンスもイベンターとしての才能も凄まじいし、世間が言うほどテーマがないとも思わないんだ。バックドロップも三度も受けると受身が取れちゃうってだけで、未体験の人は是非観に行くといいと思うよ。

ただ、同じバックドロップを四回受けに吉祥寺に行くかって言うと微妙なので、次回は何か新しい風が吹くことを期待せずにはいられない。