PLAYNOTE ドキュメンタリー映画『ジャニス』

2008年06月25日

ドキュメンタリー映画『ジャニス』

[音楽・ビートルズ] 2008/06/25 03:50

伝説のモントレー・ポップ・フェスティバルでの『Ball and Chain』や、テレビ出演時の『Move Over』、さらにはジャニスが人前に姿を現した最後の瞬間と言われる高校の同窓会での映像まで収録された、ジャニス・ジョプリンを語る上で欠かせないドキュメンタリー映画。数年前に観ていたのだが、改めて観てみて、あいかわらずあんぐりさせられた。

収録曲は以下の通り。

  1. MERCEDES BENZ
  2. BALL AND CHAIN
  3. TELL MAMA
  4. KOZMIC BLUES
  5. CRY BABY
  6. TRY(Just A Little Bit Harder)
  7. MOVE OVER
  8. COMIN' HOME
  9. SUMMER TIME
  10. YHE GOOD DAYS
  11. I CAN'T TURN YOU LOOSE
  12. ME
  13. MAYBE
  14. PIECE OF MY HEART
  15. ME AND BOBBY McGEE

『Ball and Chain』『Tell Mama』『CRY BABY』『Try(Just a Little Bit Harder)』あたりが凄まじい。ジャニスは聴けば八割わかると思うが、プラス八割わかった気がする。どこまで突き抜けるんだろう、この女は。

改めて観てみて、ジャニスの陶酔の深さに驚く。ジャニスはかつて、ステージ上で歌うことは何千何万の聴衆とセックスをすること、というような表現で自分の歌を語ったことがあった。「何だそれ」と思う御仁は、観てみるといい、それをまさに文字通りやっているこの歌い方を。

セックスと言ってもよく使われるような意味とはちょっと違うようだ。ジャニスがすることは、ただ感じるだけ、ただ自分と自分の中に溶け込む音楽と宇宙を感じるだけ。愛撫はバンドと観客の絶叫がやってくれる。ジャニスはただ感じるだけ、感じて悶えているだけで、完全に成立するセックス。抱く側も体力を使うし、抱かれる側も擦り切れるようなやり方だ。

ジャニスの陶酔の深さはまさにそこにある。目を見ればわかるが、歌う際、完全に自意識を締め出している。フル・ティルト・ブーギー・バンドの頃になると余裕も出てきたのか、プロデューサーの言葉が響いたのか、自分の歌とオーディエンスの反応を見ているような節もあるが、ビッグ・ブラザーとメイン・スクイーズの頃は全く自意識というものを捨て去っているように見える。憑依型の役者がやるような目をしている。映像でも伝わってくるこの波動は、同じ会場で感じたらどれほどのものだったろう?

ギャップがすごい。歌っている最中と、歌い終わってからの表情や仕草のギャップが。歌っている最中のまさに女神か暴君のような印象とは打って変わって、歌い終わると観客に背を向けて息を整え、トークでははにかみながらおずおずと言葉を選んで喋る。ときたまわっと言葉が溢れて来るような瞬間もないではないが、基本的には控え目で大人しい、喋ることの苦手な女の子が、それを感じさせまいと虚勢を張っているときの、あの危なっかしい感じがある。世界中から踏みつけられるような思いをして育った彼女が(Down on Me)、歌う瞬間にだけ自由になれたのだとしたら、いや、自由になれると言うよりは、完全に別人になれたのだとしたら、それはギフト(才能、神さまからの贈り物)と呼んでいいのだろうか? 誰がそんなプレゼントをもらいたがる?

頭も悪くないし、言葉も知っている。芸術的感受性もあるし、リズム感も音感もある。しかし25歳にしてもはやボロボロの身と心でデビューした彼女。何だこれは、生贄か何かか。

高校の同窓会での発言のいちいちが胸をざわつかせる。隣に控えている妹の姿がちらちら見えるのがまた何とも言えない。「故郷の連中を笑ってやるんだ」と言って凱旋したはずなのに、妹がいなければ不安で恐ろしくて同窓会に顔を出すこともできなかったと言うのか。歌っている最中の演技は完璧である。そこには嘘が一つもないから、本当の意味で演技である。が、人と話している最中の演技は三流以下だ。まさに演じている、虚勢と嘘で周囲をごまかそうとしている、自分を逃がそうとしている、そんな印象、いや、確信を感じた。

俺にジャニスは書けると思う。さて、あとは演じられるかどうかだな。気が早いが。

コメント

投稿者:りゅーせ (2008年06月25日 19:32)

オススメの子が一人いるんですが、
残念ながら所属してる劇団の本公演と被ってるんですよね。
意味のないコメントすみません。
あと一度あるオーディションで見かけた人もいい感じなんですが、
今何をしてるか全く知らないという……。

投稿者:Kenichi Tani (2008年06月26日 18:56)

どっちもよさげだけど可能性ゼロってことですか(笑)。
残念無念。。。