PLAYNOTE 劇団朋友『月並みなはなし』

2008年06月18日

劇団朋友『月並みなはなし』

[演劇レビュー] 2008/06/18 02:59

世莉さんがやっとるので観に行った。劇団朋友アトリエにて。

ある意味昨年の時間堂版「月並み」は時間堂的ベストメンバーだったと思うのだが、それにどこまで肉薄できるか、という視点でどうしても見てしまった。演出家は魔法使いではないので、初絡みの座組であのレベル・あの空気を出すのは無理だろう。そして、最終的に演劇のポイントゲッターになれるのは俳優でしかないのだなぁと再確認。

が、ところどころ魔法が効いている瞬間があって、背筋がぴりっとして前のめりになったりして、しかも元々べらぼうにいい脚本(まさに演劇向け)なだけに、十二分に楽しめました。時間堂版と比べること自体が愚かしい。

個人的にはハナちゃんの存在感・一言一言がもう一つ大きいと、前半、中盤、後半の人々の心情の揺れがわっと同時に見れて良いと思った。ハナが変わるべきなのか、ハナの言葉を受け止める人々が変わるべきなのかはわかりませんが。

キリンにはもっと愛らしく、悪意無くいて欲しかったし、ススムにはもっと底抜けにみっともなくいて欲しかった。だがこれは単なる好みの問題だよなぁ。何だろう、誰もが憎むべき人間の顔を持ち、だが決して憎めない、そういう微妙なバランスが成立して欲しかったということだろうか。全体的に、時間堂版よりも憎たらしいキャラクターが多かった印象。おっと、また比較しちった。

見ている側がこれだけ過去に囚われているのに、やってる側が衣裳から口調から気質まで過去に囚われずやっているのには拍手を送りたい。

しかし俳優だけでここまでやれる話なのだなぁということも恐ろしいが、同時にこれが、楽日まで変わり続ける、成長し続ける物だということが輪をかけて恐ろしい。俳優同士の噛み合い方やすれ違い方次第では、今日のマチネの何倍にも面白くなり得る作品。なんか、マイナス方向のことばかり書いているようだけれど、十二分に面白かったし、だからこそ「もっと」を期待してしまう作品でした。