PLAYNOTE 乞局『杭抗』

2008年06月16日

乞局『杭抗』

[演劇レビュー] 2008/06/16 02:55

初コツボネだったので期待して。駒場アゴラ劇場にて。

精緻にして粘っこく陰湿な脚本にも舌鼓を打った(美術で描かれていたあの湿っぽさは、文体からも漂っていた))が、それ以上に微に入り細を穿つ俳優の演技に脱帽。聞いたら演出家がどこまでも細かく徹底的に演技をつけており、それを俳優が必死で追っ掛けていたそうだけれど、それに見合った陰影の深さがあって、文体・脚本のねちっこさに全く負けていなかった。

いろんな意味でバランスの取れた、見応えのある時間。三世代を説明抜きでびゅんびゅん飛び越えるのも、脳が疲れる感じはせず、リラックスして観れて、繋がったときにはちょっとスッとする、ゾッとする。低空飛行の、低温多湿の狂気って感じがして、愛を持ってこねくり回された舞台作品の持つマニアックな面白さが感じられて、大変興味深かったです。

知人だから書くというわけではないのだが、池田さんの演技に驚きっ放しであった。思えば観るたびまるで違う顔と声をしているような気さえする。職人的な作り込みで、隙がない、ボロが出ないのは俳優として当然なのだろうけど、人間理解が深くなければこれほど幅もあり深さもある人物像を量産はできないだろう。あと、あのひょうきんで優しい大塚さんが、えらい怖いオッサンになっていたのにも驚いた。他の俳優さんたちの演技も入念に作り込まれていて、何か、「演じる」ということの意味を再考する一本でした。