PLAYNOTE パウロ・コエーリョ『11分間』

2008年04月09日

パウロ・コエーリョ『11分間』

[読書] 2008/04/09 03:07

次のページが読みたくて読みたくてたまらない。電車の中はもちろん、駅の階段を上りながらも読み耽った。パウロ・コエーリョにハズレはないが、この一冊もまたそうだった。

ブラジルの片田舎に生まれた普通の女の子が、普通に恋して普通に結婚する生活を夢見ながら、いつの間にかスイスで娼婦になってしまうお話。セックスの問題を、パウロ・コエーリョならではの求道的姿勢から崇高に追求し描いた見事な小説。

パウロ・コエーリョの作品を読むたびにいつも畏敬の意を感じずにいられないのが、彼が、物事の中心に向かってただ真っ直ぐに進んでいるということ。ただいつも、彼が思う人間にとって一番大事なことに向かって迷うことなく筆を切っている姿に感動する。余計なことは書かない。一番大事なこと、一番書くべきこと、語られるべき言葉のためだけに筆が割かれているということ。とても丁寧に、とても勇敢に筆を切る彼の文章には、ただ感動する。透き通っていて高潔で、美しい。

話の内容に次々引き込まれていく。少女期のうぶで若々しく、甘酸っぱく、誰にでもあるような些細な情動の瞬間をするりと丁寧にすくいとった見事な筆致。最初の30ページくらいでもう十分一冊読んだような満足感を得ていた。すごい作家だなぁ。『アルケミスト』のような作品では高い山の上から聞こえてきていたような哲学的な言葉も、この『11分間』では人間の体温から滲み出ているようで、別の意味で味わい深い。

読書の喜悦を久々に味わった。後半の、二人の全く別の男との出会いから随分色味が変わるのだが、そこからの鬼気迫る密度の高い展開も良い。

コメント

投稿者:terasaki (2008年04月21日 12:27)

早速買ってみたよ!
読んだら感想書きます!

投稿者:Kenichi Tani (2008年04月25日 19:32)

すごい行動力www即断だね。
もう読んだかな? どうだった?