PLAYNOTE A4演劇学講座No.01 - 『演劇』を英語で言うと

2007年11月18日

A4演劇学講座No.01 - 『演劇』を英語で言うと

[演劇メモ] 2007/11/18 06:08

今日からCoTiKの稽古が始まる。下は15歳から上は70歳まで参加、地元で作って地元でやる芝居だよー。

で、お芝居の素人さんも多い、というか大半なので、小出し小出しに、すごくイージーに、コラムみたいな感じで演劇に関するよもやま話を紹介していこうか、という企画を立てた。と言うか、俺が勝手に書いて勝手に配るだけの、非常に人力ハンドメイドな企画なのだが。三日坊主の自分にどこまでやれるか。これ、稽古のたびにやってたら、No.50くらいまで行くよね。そしたらすげーなぁ。

文章量は毎回A4一枚限定。なので、A4演劇学講座と名付けたよ。最終的にはA4一枚でブレヒトの異化効果やスタニスラフスキーの身体的行動の方法や、風姿花伝の読解や、ハイナー・ミュラーのハムレットマシーン解説とかやれたらいいですね。参加者誰一人喜ばないだろうし、100%無理なのだが。

というわけで、第一回の原稿をここに載せておく。

A4演劇学講座No.01 - 『演劇』を英語で言うと

演劇を英語で言うと何でしょう? 正解はいくつかあります。

例えば、”Theatre”。「劇場」という意味ですが、翻って「演劇」というジャンル自体のことも意味します。学校で習った”Theater”ではなく”Theatre”というのが古いイギリス式で、もっぱら演劇業界では”Theatre”の方を使うようです。

例えば”Drama”。「テレビドラマ」とか「メークドラマ」とか、今でもよく使われる言葉ですが、語源は古く、古代ギリシャ語で「行動」を意味する単語・ドラーンから来ています。”Theatre”が漠然と「演劇」というジャンル全体を指すのに対し、”Drama”は一本の芝居を指す場合に、しかも、筋書きのしっかりした、割と近代以降に書かれた劇を指す場合に多く使われます。…この言葉について書くとおそらく論文が一本書けるので、次に行きます。

例えば”performance”。これは、「演劇」というより「公演」という意味と言った方が正しいのですが、近代以降、演劇がよりライブ感やパフォーマンス性などを取り入れた結果、よく使われるようになった単語です。”stage”や”show”, “act”なんかも演劇公演を指すのに使われますが、「演劇」というジャンルそのものを意味するわけではないので、この問いの答えとしては不正解です。

「『演劇』を英語で言うと?」という問いについて、おそらく一番正解に近い単語は、”play”でしょう。拍子抜けするほど簡単な単語、中学一年生で習う単語ですが、これこそまさに「演劇」。しかも、実に含蓄深い単語なのです。

“play”と聞いてまず思いつく意味は、「遊ぶ」でしょう。これ、とても大事なことです。最近では「シアターゲーム」なんて言って、身体をほぐしたり、身体や声の使い方を理解したり、メンバーと仲良くなったり、息を合わせたり、即興劇(エチュード)のための練習に使ったり、と、遊びを取り入れた演劇の稽古が盛んです。

しかも、演劇の起源と「遊ぶ」という言葉の間にも、ほんのりと関係があったりします。演劇はどのようにして生まれたか? 文字や壁画よりも以前に生まれたことは確かなようなので、どうにも記録が残っていないから確かなことは言えないのですが、いくつかある説の中に、他人や動物の物真似をしたり、事件や状況を再現したりという遊びの中から演劇が生まれた、というものがあります。そういう意味では、「遊ぶ」という概念は、演劇の親であると言うことさえ出来そうです。

たくさんある“play”の意味の中で、もう一つ注目したいのが「演奏する」という意味。”play the guitar”とか、中学生の時、何百回もノートやテストに書きましたね。演劇の歴史でも、「演奏する」という言い方を好んだ人がいました。スタニスラフスキーという20世紀初頭に活躍したロシアの演出家で、それまでてんでんバラバラ、みんな我流でやっていた演技術に革新をもたらし、世界中の俳優の演技力を向上させた…と言っても過言ではない人です。

彼が言っていたことをわかりやすくまとめると、こうです。もし演劇を音楽に見立てて説明するならば、俳優にとっての楽器は自分自身の身体、楽譜は台本。音楽家が楽譜の読み方を知っているように、俳優は戯曲の読み方を知っていなければならないし、演奏家が自分の楽器の隅々まで知り尽くしているように、俳優は自分の身体の隅々まで知り尽くし、自在に操れなければならない。いやいや、「身体」というより、「心身」と言った方がいいかもしれません。身体だけでなく、心も使って演奏するのが音楽だし、演劇ですから。

よく、ちょっと顔の濃い俳優が「遊びでやってんじゃねぇんだよ!」と言って部下を叱り飛ばすようなシーンがテレビドラマなんかにある気がします(見たことはない)。こういう市民参加の演劇の集いでは、「遊びでやってんだよ!」と叫んでみたらどうだろう、なんて思います。決して悪い意味ではなく、「遊び」をやるとき、人は誰しも前向きだし、一生懸命です。わくわくしています。嫌々ながらやる人は一人もいません。そして、遊ぶ時、人は真剣です。

演劇は「PLAY」です。真剣に、かつ前向きに、本気で遊べたらいいじゃん、と思います。

コメント

投稿者:Kenichi Tani (2007年11月18日 06:20)

書いてみて気づいたのだが、A4一枚、10.5pt、左右二段組みで書くと、思いのほかたくさん書けてしまう…。1600字オーバー。大学のレポート一枚分になっちゃうじゃねーか。次回はこの半分くらいにしたい。

あと、ですます調の文章は、全く俺の肌に合わない。うぜぇ。

投稿者:なお (2007年11月19日 11:07)

やさしい感じがしますね。
小学生に倫理を教えてるかのようです。
うっかりじっくり読んじゃいました。

でもですます似合わないですね。
胡散臭さ倍増。

投稿者:Kenichi Tani (2007年11月21日 09:52)

俺もともと塾講師やってたから、こういう語り口はそれほど違和感ないんだよね。小学生に倫理もあながち外れた喩えじゃないかも。