PLAYNOTE 東葛高校演劇部『ウチハソバヤジャナイ』

2007年11月09日

東葛高校演劇部『ウチハソバヤジャナイ』

[演劇レビュー] 2007/11/09 03:00
東葛ゲキ部の面々
面々

自分の母校である東葛高校。明治大学は石頭の守銭奴大学であったので、騒動舎と文演以外でほとんど愛校心らしい愛校心を残さなかった点において稀有と呼べるうんこ大学だったののだが、東葛は心の母校である。自主自律、いい言葉じゃないですか。

で、よく DULL-COLORED POP を観に来てくれている上、今度のCoTiKにも参加してくれる子もいるもんだから、地区大会の様子を観に行ったよ。流山何とか文化会館にて。

演目はケラリーノ・サンドロヴィッチの出世作『ウチハソバヤジャナイ』。よくこんな演目を選んだな。ナイロンのものほど役者を選ぶ本も少なくない。ナイロンの役者さんたちが語るからこそ、な台詞やギャグが非常に多い。最近のものではそういう傾向はがくんと薄れてきたけど、『ウチソバ』を持ってくる辺り、果敢と言うか傍若無人と言うか。

が、観てみたら割と面白かった。よく一時間に縮めたもの。テキレジの結果、それほどストーリーが破綻している風にも見えなかったし、観やすい尺になっていた。

ギャグのアプローチが、シュールにズレたナイロン風ではなく、高校演劇風、あるいはキャラメル風なやり方になっていた点が一番驚いた。意図してかどうかは知らないが、斬新な演出と言える。もちろん世間一般的な意味合いで言えば及第点には遠いのかもしれないが、演劇とは空間であるから、上演された空間において成立していることがまず要件。その点、高校生向けの演目として結果的にうまくアレンジされていたように思う。

舞台の使い方はもう一息。とは言え20分の仕込み時間ではあれが限界か。もう少し空間の切り分けと高さの活用ができているとよかったように思う。ロスコ炊き過ぎで最後はもくもくになっていたのが残念(笑)。あれ、いっぱい出したくなっちゃうんだよねぇ。

役者さんは奇抜でユニークな人が数人いたのは面白かったな。マチルダ役の子とアルジャーノン役の子、あと医師をやってた子が個性的でよかった。基礎力はもちろん足りないのだが、そんなもん後からいくらでもついてくるからどうでもいい。毎日稽古すればね。ただ、全体的に早口なのが気になったな。カツゼツカツゼツと高校演劇では呪文のように繰り返すが、いくらカツゼツがよくてもそのスピードでは聞き取れないよ、ということが結構ある。重要なのはしっかり音を粒立てて、言葉を大事に、伝えようという意思を持つことだと思うけれど、勢いだけで乗り切ったようなシーンでは台詞は結構覚束なかったかも。

照明はあの短時間では攻め切れないのはよくわかるが、SSの意図がよくわからなかったな。音響はLRを使い分けるくらいはしてもいいんでは。全体的な曲調に統一感がなかったのは惜しい。映像が舐め切っていて面白かった。はぁ、しかし、高校演劇にも映像が出る時代になったんですね。隔世。

しかし全員が全員きっちり自分の立ち位置を理解し、それにトライしており、かつ見事なシュートを決めた人までいたことは素晴らしい。全体として見るとちょっと雑かなと思われる作り込みではあったが、そういうバラバラさが却って作品の雰囲気にはマッチしていたとも言える。若旦那役の彼のすっとぼけた感じと主役の彼の生真面目さの齟齬が、世界の破綻を感じさせてくれた。

確か昨年の春も大会を観に行ったが、いつも初心に戻れて悪いものではない。そう、こういう、ハンドメイドでアットホームな、「やりたい」「面白い」っつー衝動をきっちり大事にして物を作るということは、どこまで行っても忘れたくはないものである。帰り道、そこにあったからサイゼリアに入ったのだが、おおサイゼリア、これも高校んときよく行ったっけ、と思い、またしても懐かしさを感じた。