PLAYNOTE 食人鬼・アンスロポファジャイに関するメモ

2007年07月27日

食人鬼・アンスロポファジャイに関するメモ

[雑記・メモ] 2007/07/27 05:37

ただのメモです。

また、互いに食い合う食人種、
アンスロポファジャイのことや、肩の下に
顔のついた種族のことも。

上記引用は松岡和子訳『オセロー』より(p38)。読んでわくわくしてしまった。何この悪趣味なネーミング! そのうち芝居のタイトルか団体名に使うから、誰もパクらないで下さい(予約)。ちなみにデズデモーナも「熱心に聞きたがった」そう。デズデモーナ、生き延びてたら将来いいおばちゃんになってたろうな。アンビリバボーとか毎週見てそうな(笑)。

原文ではこう。ソースは Project Gutenberg: Othello より。

And of the Canibals that each others eate,
The Antropophague, and men whose heads
Grew beneath their shoulders.

「Antropophague」で検索引っ掛からなかったので、「Canibals Othello」等で検索したら出た。一般的なスペリングは Anthropophagi らしい。というか、アーデン版でもこっちなんじゃないかしら。

Wikipediaの解説によると、「頭がなく、胸に口がある」「小さな脳は足の付け根、目は両肩にある」らしい。すごいビジュアルインパクトだ。よくわからんが関連語にAndrophagi(別種の、だが似た奴っぽい)、Antropophague(多分これはスペル違い)、Blemmyes(BC5以来の伝説)など。

ちなみに右上に掲示したCDは、Deeds of Fleshというアメリカのデスメタルバンドのもの。「近親相姦する食人鬼(アンスロポファジャイ)って、すごいタイトル過ぎて笑える。どんなセンスしてんだデスメタル。ちょっと視聴できたから聴いてみたが、…やっぱデスメタルってわかんねぇや。

しかし「ちょっと変なモンスター」くらいの気分で調べ始めたら、そのルーツが意外にもギリシャのバーバリアン(ヘレネスじゃない人々)にありそうなことがわかって何だかしょげてしまった。イオニア人、ドーリア人、アカイア人の三種族がやってきて古代ギリシャ文明が始まったってのは教科書にも載ってる有名な事実だけど、どうやらその際追放した先住民、あるいは抗争していた近隣の異教徒のことを Blemmyes と呼んだらしい。はっきりしたことは書いてないし、誰にもわからないんだろうけど、恐らくその Blemmyes が、徐々に野蛮人としてイメージを変容させていく中、食人や異形という設定が加えられ、怪物としての Blemmyes が生まれた。ヘロドトスの著作の中にもこの語は登場するという。

そして歴史の水脈の中、一度は絶たれるギリシャの歴史。キリスト教の時代になって、ギリシャ時代の著作や神々は焼き捨てられた。だが強烈なインパクトを持つ Blemmyes という存在は形を変えながらヨーロッパ中に伝播し、イギリスにおいて Anthropophagi として定着、シェイクスピア作品に登場した…という流れらしい。

ギリシャ人が抗争相手を食人の怪物呼ばわりした結果、それが姿を変えてシェイクスピア作品に名を残した。歴史と人間の業を感じる。怖い。

あぁ、面白い。もっと調べたいが多忙なのでもうやめよう。語源がすごい気になる。Anthropophagiと聞くと一発でAntholopologyを思い浮かべるが、イギリス版食人鬼の語源は何なのだろう。いかす名前だ。情報お待ちしています。

コメント

投稿者:Fountain (2007年07月28日 01:26)

拳銃だけじゃないっすよ…ということで。
とりあえず電子辞書を使ってみたら
anthropo- 連結 人間、人類(@ジーニアス英和辞典)
というのが出てきました。
ということはphagiはファージ、マクロファージだのバクテリオファージだのというように「食う者」でしょう。
いささか味気ないですが、このくらい?

投稿者:Fountain (2007年07月28日 01:29)

あと関係ないと思いますが東洋(中国)にも刑天というのがいます…

投稿者:Kenichi Tani (2007年07月30日 20:51)

変な記事にだけ食いつき早いな(笑)。でもファージってのはあれか、随分歴史のある単語なんだね。追跡調査ありがとう。

刑天ってちらと調べてみたけど随分トンチキで不気味な怪物がいたもんだね。モンスターや想像上の動物って言うと西洋ばっかり興味があったけど、やはり中国は侮れないなぁ。