PLAYNOTE スタニェフスキWS記録No.1 ワークショップ初日

2007年06月26日

スタニェフスキWS記録No.1 ワークショップ初日

[演劇メモ] 2007/06/26 02:59

スタニェフスキWSの初日。西新宿・芸能花伝舎にて。

前半二時間、動きまくる。俺は俳優じゃないんだぜ、とは一瞬も思わない。楽しい。子供に戻ったような楽しさがある。スタニェフスキ氏は「驚きを持って世界を見なければならない。子供のように」と言っておったが、その直前に童心に返ったような気でいたので、あぁなるほどなと思った。PLAY。

何を動いたのかというと、リズムに合わせて歩く・動く→パートナーと背中合わせでバランスをとる→それにリズムに合わせて呼吸も加える→さらに歌う、みたいな感じで発展していくエクササイズ。『二十世紀俳優トレーニング』によれば、スタニェフスキ氏の演劇は、音楽と振付(動き)から生まれる/育む俳優間の相互作用の演劇だ、みたいなことが繰り返し書かれているが、いきなりズバリと切り込んで来て驚く。

これも『二十世紀俳優トレーニング』の受け売りだが、ガルジェニッツェでやっているという「深夜のランニング」というエクササイズが印象深い(今回のWSでやったものではない)。深夜、田舎なので真っ暗、みんな裸足で肩を組んで走る(!)。不整地、木の根、岩、水溜り、いろいろあって当然危険。しかも裸足で肩組んで。が、徐々に走っている全員の呼吸が揃ってくる。肩を組んだ相手との息も合ってくる。直接的に何かが技術として獲得されるわけではないが、俳優同士の交感力や、リズムの理解、身体が生むエネルギーの理解、まぁ何でもいいよ好きにいえば。可能性を感じるエクササイズではある。今日動きまくったのもそれに通ずる予感があった。

続いて「身体のアルファベット」というエクササイズ。ギリシャの壷絵にある動作/形をトレースし、アレンジしたという様々な動きを真似る。「悲しみ」というサンプルから入り、次はいきなり「クリュタイメストラ」「アガメムノン」「イピゲネイア」とギリシャ悲劇の超有名人物に続く。さらに「母」「父」「娘」、「殺す」「涙」など。「正確にやることが大事」。

俺が思うに、身体言語の可能性に気づくとか、ポーズが持つ力(主に内面に作用するものとして)とかを獲得するための初歩の初歩だと思うのだが、まぁそんなことはどうでもいい。氏はギリシャ文化をヨーロッパの源泉と考えているようだから、ギリシャの壷絵からってのはわかる。じゃあ日本人は? それはユニバーサルなものなのか。知らん。

スタニェフスキ氏が一人の参加者に「あなたは感情を動かし過ぎだ、もっと形とリズムに気をつけて」と言っていたのが印象的。スタニェフスキ氏の方法論と作品は特殊過ぎてそう簡単に現代劇に引用可能なものとは思わないが、演劇における身体論ってものは常に俺の興味の的だし、まだまだ学術的にも研究の余地がある分野と思う。形とリズム? ははぁ。

後半は自己紹介を兼ねた質疑。スタニェフスキ氏が一人一人丁寧に質問して行く。ギリシャ悲劇を演出したと言うがどうやったのか、アクターズ・スタジオ関連のワークショップで学んだというがちょっと見せてくれ、アガメムノンという人物をどう思うか、マクベスの一体どこに力点を置いて演出したのか、ショパンは何故日本人に人気があるのか…。ぶっちゃけ、長かったが、耳と頭は相当楽しめた時間であった。

俺が思うに、スタニェフスキ氏の方法論を知ることは、さっきも書いたが引用可能なことではない。それは海外の俳優が歌舞伎を延々研究して、じゃあテネシー・ウィリアムズの上演に取り入れてみようか、みたいな困難。できること/すべきことは、真意を汲み取り、翻案することだろう。えー、無理だよー。と今は思うが、インスピレーションだけはいろいろ頂戴しているので、まぁあと五日、遊んで来ようと思う。

今日のWS日記は以上。明日からはWS日記がとある理由から二倍になります。