PLAYNOTE アニエール・セルカン『宇宙エレベーター』

2007年05月09日

アニエール・セルカン『宇宙エレベーター』

[読書] 2007/05/09 01:46

先に紹介した『タイムマシン』と同じく、トルコ人の物理学者・アニエール・セルカンが物した著。セルカンの多才多能を充分に感じさせてくれる科学的妄想の数々を通して、とっくり自分の頭で考えてみること、常識を疑い穿つこと、夢を見ること、などについて心打たれる一冊。

上に「科学的妄想」と書いたが、本当にそういう内容。サンタクロースが実際に子供たちにプレゼントを配るとしたら、サンタとトナカイはどういう速度・状態で動くのか? ノアの方舟が実在したとしたら、ノアはどういう船を作って、何をしなければならなかったか? などの記述が特に面白かった。

個人的に興味はあるが敷居が高すぎて全く理解できなかった多次元世界の話(11次元の説明が出てくる)や、量子物理学のざっくりした説明など、大衆向けの物理学紹介本としても面白い。

全体的に書き散らかした感があって、一貫した本というよりエッセイを集めたような感じになっているのだが、それがまたいい。セルカンの自由な発想力や妄想力が存分に発揮されていて、話はシュメール文明から相対性理論まで自由に飛躍する。物理学を修めた人間の妄想は、こんなに科学的で、こんなに自由気ままなのか。理詰めでありながら、勝手気まま。

建築家としてのセルカンの一端も垣間見える。4次元とか11次元の建築を考えてみたらフラクタルに近くなった、とか、わくわくするし、モデルのイラストを見ているだけで脳が溶け出し妄想が踊る。

特に実益もなければある一貫した体系ある知識が得られるわけでもないので、電車の行き帰りとかで気ままに読み散らかすのがオススメ。物理学になんとなーくの興味がある人によいのかな。