PLAYNOTE B.トポルコフ著『稽古場のスタニスラフスキー』

2006年12月25日

B.トポルコフ著『稽古場のスタニスラフスキー』

[読書] 2006/12/25 00:00
表紙

1927年にモスクワ芸術座に俳優として参加し、スタニスラフスキー最晩年の仕事をつぶさに観察・記録したトポルコフが著した一冊。名著である。俳優として苦闘する彼にスタニスラフスキーが与えた助言・講話の数々が収められており、スタニスラフスキー本人が語った身体的行動の具体的解説がはっきりと理解できる。絶版なのが惜しい。

おそらく日本語で手に入る書籍の中で、これほど身体的行動の概念と実践を明瞭に語った本はないのではないのだろうか。いや、世界中探しても怪しいものだ。スタニスラフスキーの実際の仕事を知る上で、この上なく貴重な一冊。

彼・スタニスラフスキーは最晩年になって、それまで<システム>と呼ばれてきた様々な手法-感情の記憶、魔法のif、与えられた状況、etc.-を打ち捨て、身体的行動の方法と呼ばれる稽古法に走るのだが、本人の筆による解説や講義記録も残っておらず、それが一体何だったのかは、実際の稽古場でのやり取りから探るしかない。トポルコフのこの一冊が現在に残した意味は限りなく大きいと言える(実際、先日紹介したジーン・ベネディティ『演技-創造の実際』も、かなり多くをこの本に負っているようだ)

身体的行動の実際がどうであったか、それは今度卒論としてまとめるのでここでは触れないが、この本と出会えたのが今回の研究で一番の成果だな。スタニスラフスキー本人の本と違って読みやすいし(笑)、具体的だし、そもそも最初は彼のやり方に若干の懐疑を抱いていた一人のキャリアある俳優がそれを吸収していく、という流れをとっているから、のっけから「システム素晴らしい!!」な語り口よりも圧倒的に理解しやすい。

本気で復刊して欲しいなぁ。古本屋検索したらまだあったから買うだろうけど、価値のある本だと思う。