PLAYNOTE 「もちろん、ヴァージニア、サンタクロースは本当にいるよ」 (Yes, Virginia, there is a Santa Claus)

2006年12月24日

「もちろん、ヴァージニア、サンタクロースは本当にいるよ」 (Yes, Virginia, there is a Santa Claus)

[雑記・メモ] 2006/12/24 04:00
Fireworks and Santa Claus by J.R.R. Tolkien
Fireworks and Santa Claus
(by J.R.R. Tolkien)

1897年の秋、ニューヨーク・サンの編集部に、小さな子供の字で、こんな手紙が届いた。

新聞記者さまへ。私は八歳の女の子です。
私の友達はみんな『サンタクロースなんていない』と言います。
パパに聞くと、「本当のことは、みんな新聞に書いてあるよ」なんて言います。
本当のことを教えて下さい。サンタクロースはいるんですか?」

西95番通り 115番地 ヴァージニア・オハンロン

同新聞の論説委員であったフランシス・チャーチは、この小さな女の子の可愛らしい手紙に、丁寧に返事を書いた。新聞の紙面に、記事として。この記事は後に、『Yes, Virginia, there is a Santa Claus』(「もちろん、ヴァージニア、サンタクロースは本当にいるよ」)という名前を通して、世界中に知られることとなる。

ヴァージニア。君のお友達は間違っている。この疑り深い時代の疑り深い空気が、みんなに伝染ってしまったんだ。みんな、見たもの以外、信じない。みんな、その小さなおつむで理解できないものは、どれも「ありえない」と思ってるんだ。

いいかい、ヴァージニア。人間の頭なんて、大人でも子供でも、ちっぽけなものだ。この広い広い、広大無辺の宇宙の中では、人間なんてただの虫。ありんこみたいなものだ。世界の真実を理解するには、ちっぽけなものなんだよ。

 

ヴァージニア。もちろん、サンタクロースはいます。愛と、思いやりと、優しさが、本当にこの世に存在し、人生にとびきりの美と喜びを添えてくれているように、サンタもまた、確かに存在するのです。

もしサンタがいなかったら、何て恐ろしいことだろう? それはきっと、世界中探してもヴァージニアのような子が見つからないのと同じくらい、恐ろしいことです。子供たちは信じる心を失い、詩も、わくわくするようなお話も、この世界からすべてなくなり、私たちはカラカラの人生に耐えられなくなることでしょう。見えるもの、触れられるもの以外、すべての喜びがなくなり、世界中を満たしている、純粋で優しい光が、すべて消え去ってしまうのです。

 

サンタクロースを信じない! ならきっと、妖精も信じないのでしょう。ヴァージニア、君はきっと、パパに頼んで、イヴの夜に一晩中煙突を見張り続けるサンタ監視員を雇ってもらって、本当のことを知りたいと思うかもしれない。でも、もしそこで、仮にサンタを見つけられなかったとして、一体何になるだろう? 誰もサンタを見たことがない、でもそれは、サンタがいないってことの証明にはならないんだよ。この世界で一番尊い真実は、子供にも大人にも見えないものなんだ。ヴァージニアは今まで、君の家の庭で踊る妖精たちの姿を見たことがあるかい? もちろんないだろう。でも、だからって、いないとは限らない。世界中の見えない不思議や秘密を、すべて知ろうとするなんて、誰にとっても不可能なことなんだ。

 

赤ちゃんのガラガラをずたずたに引き裂いて、その中の音の正体を確かめることはできる。でも、この世界を包む薄いベールを引き裂いて、目に見えない「本当」を知ることは、大の大人にも、大の大人が100万人集まっても、絶対に無理なことなんだ。ただ、信じることや、夢みること、愛や、詩や、お話だけが、その薄いカーテンを引いて、言葉を失うような美しい世界の真実を、僕たちに見せてくれる。それは本当かって? いいかい、ヴァージニア。もちろん本当さ。そして、世界中どこを探したって、他のところに「本当」なんてないんだよ。

サンタクロースがいない。何てことを言うんだ! 彼は今も生きてるし、これからもずっと生きている。1000年経っても、いや、1000年の1000倍経っても、サンタクロースは子供たちの心に、喜びを配り続けるんだよ。

サン紙は、翌年も、その翌年も、その翌年の翌年も、クリスマスが来るたびに、この記事を掲載し続けたという。今も同記事は、英語で書かれた最も有名な新聞記事として、国境を越え愛され続けている。

※この訳では、自分の拙い英語力もあり、かなり意訳・曲訳が施されています。正確な意味を知りたい方は、下に掲載する英語原文と、青空文庫の大久保ゆう紙の訳を参照して下さい。この訳は引用・転載ご自由にどうぞ。

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