PLAYNOTE 恩田ツアー『嘘800』

2006年12月17日

恩田ツアー『嘘800』

[演劇レビュー] 2006/12/17 19:05

近くて遠い謎の男・吉田ミサイル氏と、何かいろいろ凄いらしいと漠然とした噂を聞く恩田ツアー主宰恩田ゆみ氏の二人芝居。高田馬場タナトス6にて。

会場の雰囲気・空気感をそのままほっこり劇に持ち込んでおり、カーテンの隙間から指す陽光をウッドテーブルがきらめき返し、よい絵ヅラ。今回、二人の会話劇なのだけれど、むしろ自分には二人の立ち姿、向かい合う姿、崩れ落ちる姿、といった絵ヅラ的な美しさが印象に残った。

三島由紀夫とサリンジャーをミックスダウンする大胆な試みは、文学青年であった僕の心を打つものが確かにあったけれど、二つの素材そのものが持つエネルギーに、ミックスダウンされた新曲の訴求力が追いつかず、台詞の洪水に少し溺れそうになった。時たま見せる二人のサービス精神に救われた格好。が、リリックとしての言葉にしばしば聞き惚れ、妙にハッとする瞬間が幾度かあった。これは気持ちのいい瞬間だったな。

この作品の原案である三作『美しい星』は、精神医学でいうフォリ・ア・ドゥ(フランス語で「二人狂い」という意味だそうだ)、感染する精神病を想起させるところが多く、作品の意図とは別の場所で興味が湧いた。

次のリンク先がフォリ・ア・ドゥを詳しく説明している。とても面白いので読んでみて欲しい。

参考: 私家版・精神医学用語辞典 - フォリ・ア・ドゥ 凄まじいエピソード、なのだが、狂気の裏には家族や絆にしがみつく人間らしい弱さが見える気がして、胸が痛くなる

終演後恩田さんとちょこっと話して来たが、いろいろと企んでいる人っぽいので、どんどん何かやらかして欲しい。