PLAYNOTE 明大文化プロジェクト2006『ウィンザーの陽気な女房たち』

2006年11月14日

明大文化プロジェクト2006『ウィンザーの陽気な女房たち』

[演劇レビュー] 2006/11/14 22:14

昨年自分が『マクベス』を演出した明大文化プロジェクト。今年は以前『蕎麦屋』に出演してくれた須崎千泰が演出しており、ゆいちゃんという天才少女が踊っている。観て来た。

『ウィンザーの陽気な女房たち』は言うまでもなくシェイクスピア初期の喜劇作品だが、よくこの作品を選んだものだ。喜劇の演出はある意味悲劇より難しいし、ウケがとれたかどうかという明確なバロメーターが存在する分、逃げ場がない。須崎に敬意を表していろいろ正直に書こうと思う。

もともとドタバタ喜劇の色が強い作品だが、輪をかけてドタバタな舞台。役者は終始すさまじいハイテンションで、とにかくよく動く動く。テンション芸人がずらっと揃ったような印象で終始テンションが高いから、勢いがあり過ぎて逆に緩急がなくなっており、ちょっと観ていて疲れた。

以前ある喜劇俳優が言っていたことだが、コメディとはいえつまらないシーンはあってもいいものだ。むしろその俳優は、ちょっとつまらないくらいのシーンをわざと入れて、観客に息をさせる、テンポを作る、緩急をつける、というようなことを言っていた。『ウィンザー』におけるシェイクスピアの笑いも、現代でまだ生きているものがあることは会場で度々笑いが起きていたことが何よりの証左だが、今回の上演ではすべてのシーンに笑いを入れようと欲張ってしまっていたような印象を受けた。

致命的だったのが台詞回しの速さ。声量は大学生にしてはまぁ出ていた方だと思うけど、とにかく早過ぎて何を言ってるのかわからない。一応シェイクスピアをそれなりに読んでいる若い自分でこれだから、ご年配の方にはかなりつらかったんじゃなかろうか。役者はかなり度胸が据わっていたし、ちゃんと笑いどころを意識して作っていたのだから、あと二割スピードを落とせばぐっと出来栄えが違って見えたのは間違いないだろう。

役者は、今書いたばかりだが、全体的に度胸が座っており動きが大きく、稽古量のすさまじさを感じさせるものだった。笑いのセオリーをしっかり踏まえたシーン演出があったおかげで、笑いどころはきちんと成立していたのはお見事。プロデザイナーである朝月さんの衣装を着こなしていたようにも見えた。役者の背骨がすっと通っていると、衣装にも負けないのかなぁ。

森に入ってからがとても…怖かった。夜の森という雰囲気を意識したせいか、陰影がありあり出る薄暗めの照明と、戯曲がそもそも持っているグロテスクな側面のため、自分にはかなり恐ろしいシーンに見えた。他の客は割と祝祭的なムードを感じていたのかな? まぁいいか。とにかく、それまでストレートに身一つで演じるシーンが多かった分、舞踊や吊り物、シルエットなどかなり凝った趣向を入れたラストの演出は、クライマックスに相応しい大胆さを持っておりかなり見応えがあった。

昨年ああいう救いようのない暗い悲劇をやった分、今年の方向性にはとても好感が持てた。シェイクスピアの懐の広さと、叩けば伸びるし自由に曲がる学生の柔軟さを観客は改めて感じたのではないだろうか。ホールが悪いんだよ、ホールが。大二郎さんは「十年続ければ文化になる」と言っていたが、何だか本当にそんな気がする。今年の収穫を踏まえて、来年はどういう方向に舵を切るか楽しみだ。

ここからは俺の勝手な妄想なのだが、『ウィンザー』って実はとても恐ろしい話なのではないだろうか。詳細を書くとネタバレになってしまうので書かないが、いつか『悲劇・ウィンザーの陽気な女房たち』を上演したい。シェイクスピア作品では他に『尺には尺を』をやりたいな。

コメント

投稿者:りゅーせ (2006年11月15日 01:58)

前にも言ったけど、谷さんはやっぱりそういうのやった方がいいと思うなぁ。

投稿者:Kenichi Tani (2006年11月15日 02:19)

うん、そのうちやるよ。でもそのためにはたくさん勉強しないとなぁ。すっかり頭がなまっちまった気がする、最近。

投稿者:G (2006年11月15日 08:14)

実は同じ回を見てました(笑)。

最前列にいたでしょ。
僕は20列くらいで見てたんですが
やはりどうにもセリフが矢継ぎ早なのとワンワン反響するので全然入ってこなくて
申し訳ない・・・と思いつつ休憩で帰っちゃいました。。
後ろの女の子が

「日本語なのに外国語みたいに聞こえた」

と言ってました。確かに。。
せめてマイク使ってくれればと思ったなぁ。
設備で損してるんだとすればとても残念だね。

投稿者:Kenichi Tani (2006年11月15日 09:00)

いたなら声かけろよ!!!
つか何故いたのか全然わからねえが、目撃しといてスルーな理由がもっとわからねえ(笑)。

擁護するわけじゃーないけど、ああいう聴き取りづらさは陥りがちなんだよね。稽古場じゃーあのキャパの広さを想定するのは難しいし、小屋入りしても客がいない状態で通しやゲネやると声が通っちゃうから、客がびっしり入った状態の音響性は想像しづらいし。

マイクは設備としてはあった気がするし、使うとなれば数万予算投入すればいいだけだから実現は簡単だろうね。ただ、大二郎さんが嫌いそうだ。

投稿者:G (2006年11月15日 13:39)

まぁ,席遠かったしねー。
僕はスラっと帰っちゃったし。
須崎さんがマイミクに入っているので
そんな関係でチケット都合してもらっちゃいました。

投稿者:Kenichi Tani (2006年11月15日 22:04)

何で須崎のこと知ってんだよw

投稿者:すさき (2006年11月17日 18:58)

ケケケ
もったいないのよねえ
しかも後半から前半のが聞いてきておもしろいらなあ
まるで井上ひさしの「連鎖街の人々」☆
Gさんはねえ須崎のマイミクなのさ☆
いろいろいってくださり光栄ですわ
谷兄もGさんも
これからはキャストオンリーでいきますゆえ
よろしく☆
ケケケケ

投稿者:Kenichi Tani (2006年11月18日 04:07)

そうだなぁ、確かに後半の方が面白かったなぁ。
連鎖街の人々、懐かしい。あんまりクリアに覚えてないが…。

しかし大丈夫か、須崎?

投稿者:すさき (2006年11月18日 13:33)

ええ、もうしばらく死なせていただければ
起き上がりますわ(おきあがりこぼし~♪)

投稿者:Kenichi Tani (2006年11月19日 08:22)

死ぬるにしても二週間くらいにしてね。