PLAYNOTE 仏団観音びらき『宗教演劇』

2006年10月17日

仏団観音びらき『宗教演劇』

[演劇レビュー] 2006/10/17 05:57
チラシ

チラシにいきなり
「美内すずえ先生!! 今度こそ観に来てください!!」
と熱いメッセージが踊り、『ガラスの仮面』をモロにパロった濃ゆい人物たちの写真。もうチラシを見ただけで面白いの確定みたいな異色の公演を観て来た。新宿タイニイアリスにて。

主人公は魔夜峰子38歳独身(=北島マヤ)。月影千草に見出され、劇団月影に入団するが、そこは演劇を利用した宗教団体だった…というとんでもないあらすじ。「劇団内では厳しいカースト制度がしかれ」「閉鎖的な世界に依存しながら」「明日のスターを夢見て」「間違ったメソッドを繰り返す」人々(=亜弓や桜小路、あと何故かゲンゾウ)が大活躍する(以上すべて公演チラシから)。当パンには「怪しいタレント事務所や養成所、営利目的の劇団にひっかかり、多額のレッスン料やチケットノルマに来るシム演劇人の姿をガラスの仮面のパロディー」にしたとある(笑)。すごい!

妙に体のキレがよくて宝塚ばりの濃いメイクを施した役者たちがくっだらねーギャグをやりまくる、テンション120%のすごい劇団。元ネタがあの「ガラスの仮面」、そう、そもそも原作がギャグ漫画すれすれのあの超名作を、よりコントよりにアレンジしているのだから、ギャグの破壊力がとんでもないことになっていた。月影先生役の男優が、飛び回し蹴りしたりバク宙したりしながら「マヤ!」と叫びツッコむ姿は圧巻。チケットノルマに苦しむマヤ、バイトを掛け持ちして劇団費を納めている桜小路、ばりばりのヅカメイクに「エリート」と書いた安っぽいタスキをかけた亜弓…。げらげら笑った。

セットと照明が素晴らしかった。舞台には、奥に投げやりな感じのホリゾント幕(固定されてないからひらひら動くという手抜きぶり)があるだけで、素舞台。照明もとてもプロの仕事とは思えないくらい大味で、いい意味で全体的に「ギャグだし、こんなもんでいーだろ」感が漂っており、最高だった。

個人的にはオチまで大好き。以下ネタバレ。
「あなたたち二人にはそれぞれ足りない部分がある」と月影先生に言われていたマヤと亜弓だったが、何とか紅天女の舞台に立つ日がやって来た。だが上演中の劇場に駆け込んだ桜小路が叫ぶ!

「紅天女は幻の名作なんかやない、ただのストリップショーだったんや!」(なぜか関西弁)

唖然。

だが、
「それでもいい!」
とショーを続ける二人。女優二人、上半身裸になって乳露出(笑)。一応乳首は隠していたが、それが梅の精である紅天女にちなんで梅の花だったから余計笑えた。おっ×いを振り乱しながら踊り狂う二人だが、ここに来て「二人に足りないもの」が露呈! マヤには「若さ」が、亜弓には「乳」が足りなかった…(亜弓役の人は確かに小ぶりの胸でした)。オチまでこんな調子。

こういう馬鹿テイスト前回の芝居は俺は好きだ。たまにはこういうの観ないと脳が硬くなって仕方がない。あと数年経てば再演するだろうから、そのときには是非もっと多くの人に観て欲しい。芝居やってる人ならノルマだのバイトだの閉鎖的集団だのの自虐的パロディは身につまされつつも笑えるし、『ガラスの仮面』好きには、もうたまらない芝居である。

次回公演はまた一年くらい先なのだろうが、次も必ず行きたいと思える稀有な劇団であった。