PLAYNOTE 新橋演舞場『獅童流 森の石松』

2006年10月14日

新橋演舞場『獅童流 森の石松』

[演劇レビュー] 2006/10/14 12:02
チラシ

坊知人にご招待券もらって観に行った。雑誌のインタビュー見て「獅童が演舞場で時代劇のアレンジかー、ユニーク!」と思い、野次馬的興味を抱いていたので喜んで足を運んだ。

凄まじい公演であった。脚本、演技、装置その他、隅々から溢れ返るB級感! 寒々しいギャグやダンスがそれをさらに盛り上げる。B級好きとしては垂涎モノ。

客入れ音楽にロックを使っていたり、小劇場役者をふんだんに起用していたり、ラストに役者がおのおの楽器を持って生バンド演奏に乗せて役者紹介をしたり、と、獅童の意図したいことはよくわかるのだが、いかんせんここは新橋演舞場。客席にいるのは60・70のおじいちゃん・おばあちゃんと、観光バスに乗って到着する団体客ばかり。滑っている。

終演後、ロビーに流れるボブ・ディランの『Like a Rolling Stone』は、以前獅童が出演した『アイデン&ティティ』を思い起こさせて何だか切なかったが、彼のロックを聴く者はここにはいない。お団子を頬張るおばあちゃんばかりだ。

そういったズレきった狙いが醍醐味の芝居でした。

舞台役者としては獅童も新橋演舞場を背負い込み空間を支配する程の“大きさ”は持っていない。舞台というのは残酷な場所だから、しかも演舞場のようなだだ広く、普段名優しか見ないような場所では、役者の技量やカリスマがありありと出る。

だが、とりあえず外側だけ綺麗に繕って中身がカラカラだったり全部がありきたりだったりする公演より、断然こちらの方が楽しめた。そういう意味では大変いい観劇体験だったな。