PLAYNOTE フランツ・カフカ『失踪者』

2006年09月03日

フランツ・カフカ『失踪者』

[読書] 2006/09/03 04:05

カフカが書いた三つの長編小説のうちの一つ。以前は『アメリカ』という題で発表されていたもの。カフカの作品は高校生んときにほとんど読破したが、これだけは後々の楽しみのためにとっておいた。よって『アメリカ』も未読。久々にカフカを味わった一冊。

カフカ作品の醍醐味の一つである、徐々に現実感が歪み、不条理で歪んだ世界に迷い込んでいくような感覚がやはりこの『失踪者』でも味わえる。それまで控えめだったカフカ的歪みの感覚が、三章『ニューヨーク近郊の別荘』で急に僕を捉える。カフカ的な巨大で無機質な空間が一気に歪み、捻り出されるように放り出される主人公と読者。淡々とした展開の中、興奮に我を忘れページを繰った。いやぁ、やはりすごい作家だ。

ロビンソンとドラマルシュの二人も、カフカ好きをニヤリとさせる。『審判』『城』にも出て来て強烈な印象を残す一対の男(彼らほど無個性でもないが)。後半で出てくるデブ女もよかったな。

…やっぱりカフカの感想は書きづらいな。カフカ未読の人にはおすすめしませんが、カフカにかぶれたことがある人なら是非。