PLAYNOTE 古川日出男『ベルカ、吠えないのか?』

2006年08月31日

古川日出男『ベルカ、吠えないのか?』

[読書] 2006/08/31 03:52

随分以前に向井秀徳日記(2005/6/11)で紹介されていた本。向井秀徳に薦められたら読むしかないので当然読んだ。

6月11日

文藝春秋の方から、面白いから読んで下さい、と送って頂いた本を読んだ。
古川日出男という人の「ベルカ、吠えないのか?」という小説である。
これ、最高に面白い。電気ビリビリ。ショック・ショック・ノリノリ。

第二次大戦からはじまる軍用犬の系譜を軸に壮大に展開される話。
文体が全部断定調でカッコイイ。「犬は疾走する。そして死ぬ。1958年。犬は死ぬ。」こんなカンジがずっと続く。それがイイ。それはとてもカッコイイ。ノっている。文章が。

ここ最近小説にコなかったが、コレには久々にヤられた。キた。

イヌよ、イヌよ、お前たちはどこにいる?
19xx年の夏、お前は○○にいる。××大陸の極東、○○にいる。

こんな感じの文体で、ひたすら疾駆し吠え断定する特異な文体の小説。何がよかったって、まずはこの文体だ。これは、新しい。妙に馬力がある。疾駆する速度を感じる。そして、単語の選び方のセンスが郡を抜いて鋭く、感覚を揺さぶる文章である。物語の壮大さも手伝って結果的に大変読みづらいのだが、面白い。

最初、点として打たれていく小さなエピソードが、徐々に繋がり、最終的に見せる深いペーソス。歴史に翻弄された被害者として、女子供や軍人ではなく犬を持ち出した発想力はすごい。そしてこれはロックである。ロックとは哀しいものだ。ジョン・レノンだってブランキーだって、エルヴィスでさえ哀しいじゃないか。なぁ。

歴史に疎い人には読めないと思う。あと、大変複雑な構成をしているので、一気読みをお薦めする。俺は一週間くらいかけてちびちび読まざるを得なかったので、十分に楽しみきれなかった感が。残念。

自分にとってはあまり相性のいい作家ではない気がするが、とても気になるのでまたもう一冊くらい古川日出男さんの本は読んでみたい。いい読書体験をした。