PLAYNOTE アンチポップ稽古盛り

2006年08月15日

アンチポップ稽古盛り

[公演活動] 2006/08/15 01:25

毎朝九時から稽古している。早い! 一人芝居の稽古なので、普段の稽古とは違う妙な時間感覚が独特。役者が本や役に「乗っかって」くると大変スムーズに進むが、そうでないと俺がごちゃごちゃ演出つけても定まらん。一人芝居は実に奇特なスタイルなのだ。

が、先週くらいからぼつぼつようやく定まりがついてきた。本の面白さ、役者の魅力がぎゅぎゅっと出て来た。一人芝居なんて不安で仕方ないアレではあったが、ようやく確信が生まれて来た。

菅野貴夫演じる『藪の中』は、芥川龍之介を底本にしているだけあって、濃密・濃厚で骨太な一本。現代劇ではなかなか感じることの出来ない精神の図太さ、感情の火柱の太さを感じる。貴夫さんも最初は演技が細くて不安だったが、一週間前くらいからぐっと芝居が太くなり、僕の骨髄をピリピリぞくりとくすぐってくれておる。期待。

堀奈津美演じる『チル・オ・チル』は、僕も彼女もあまり親しみ深いとは言えない幻想的な世界観を持った本であるので、二人とも歩き慣れない土地をボロボロになって放浪しているような感があったが(事実我々はつい先日まで歩き疲れた子羊であった)、ある日突然、奈津美が伸びた。彼女と芝居をやるのは何本目? もう六本目か。何時の間にか一番多く一緒に芝居をやった相手になってしまったが、出会った当初は「この人えらく巧みだなぁ」とちょっと見上げたものだった。その時の感覚を久々に味わい、にんまり、というより、すっかり驚かされてしまった格好。さて後は僕らスタッフの仕事だ。

『アムカと長い鳥』を演じる清水那保は、完璧に迷走しておる。やはりエネルギーというか爆発力や集中力はあるのだが、力いっぱい迷走するので軌道修正が大変である。昔から「パワーのある奴は不器用」と物語やRPGでは相場が決まっているが、彼女の場合、あれほど小柄なくせに完全にパワータイプの役者なのだ。不器用なのである。俺も彼女もは見えている。あと一つピースが組み変われば、ぶっちゃけ、四本の中で一番の出来になると思うのだが。まずは奴の全力の迷走を止めなくてはならぬ。

上野庸平演じる『無意味の逆』は、岩藤一成の青紫がかった気味の悪い脚本世界の心地よさと、尊師の不意打ちギャグが混じり合って、不条理演劇に通ずるような気持ちの悪さを現出している。あまり演出家としてできることはないと思う。脚本と役者の仲をしっかり取り持ってやれば、自ずとへんてこで面白いものが出てくるはず。始めて通しを見たときは、その気味の悪さ、居心地の悪さに気が変になりそうだった。一つも暗い芝居ではないのだが、気がつくと世界が歪んでいて大変見応えがある。

今回、『4 nudists』というタイトルをつけたことからもわかるように、役者の素肌やその裏が透けて見えるような、役者ありきの芝居になっており、すべてとコラボっている自分としては大変素敵なインプレッションを得ている。芝居四つが四つとも全然方向性が違うので頭の切り替えが大変だが、どれも濃い世界観を持っているので混ざってしまうことはない。もっと深く濃くしたい。それはもはやポップではない、というレベルに至るくらい。

あまりにも「お酒飲みながらだから夜が面白いよー」と喧伝してしまったせいで、昼がガラガラに空いております。泣きそうです。せっかく面白いもんが出てきたのに…。夜もまだ日にちによっては若干空き席ございます。この芝居が終わったら向こう半年は(今度こそ)何もやらないと思うので、見納めだなと思ってご来場下さいませ。

ご予約は nobeernolife あっとまーく wm.pdx.ne.jp まで!

情報: DULL-COLORED ANTI-POP『4 nudists』 - PLAYNOTE