PLAYNOTE ほしよりこ『きょうの猫村さん』

2006年07月22日

ほしよりこ『きょうの猫村さん』

[読書] 2006/07/22 02:57

これすごい流行ってるっぽいんですけど知ってますか? 妹が持っていたので読んだ。むちゃくちゃ癒されたわー。

あらすじ。

主役は猫の家政婦「猫村ねこ」。昔かわいがってくれた坊ちゃんを探すべく、犬神家に奉公することになるが・・。家庭崩壊しつつある一家を猫村さんが救う!えんぴつの線画がほのぼのとした味わいをかもし出す。

まず、えんぴつ一本で書いたっぽい、脱力系のイラストが可愛過ぎる。

「いらねえ~よ!!」「あ~」
がんばれ猫村さん
「たかしぼっちゃ~ん ココアとホットケーキですよ~」「ああ… ありがと」
やさしい猫村さん

作品全体を見ると、雰囲気としてはすごくほんわかしてるのに、妙にシニカルな作者の世界観が時たま垣間見え、面白い。

基本的には「おせっかいだがまっすぐで、おっちょこちょいだが努力家、そんな猫村さんが頑張る」というだけのストーリーだが、猫村さんが通うことになる家の人々がまさに現代的な冷ややかさの中に生きていて、そんな冷え切った家族の心や行動を眺める猫村さんが、ごく純粋に「何でかしら?」「どうしてかしら?」とやっているのがとても可愛い。キュンとなる。自分も猫村さんのようにまっすぐピュアに生きていた・考えていた時期があったような、なかったような、不思議な気持ち。

そして、そんな冷ややかな家族だって、もともと冷え冷えしてたわけじゃない。猫村さんと暮らすうちに、徐々に徐々に「あれ?」「そういえば…」となっていく。この辺りの描き方が、ちっとも説教くさくないのがよい。

猫の目を通して現代の不条理・人間の愚かさを描く…と言えば、誰もが思い出すのが『吾輩は猫である』だが、『吾輩』と『猫村』は、構図が逆さまとでも言える関係になっている。愚かで滑稽な人間たちを猫がクールな視点で眺めるのが『吾輩』だが、冷え切った現代的な人間の心を愛らしく情けない猫が眺めるのが『猫村』。あの妙に大人びて世間ずれした『吾輩』と違って、とにかく純粋で一生懸命な『猫村』。

『猫村』はよい。こんなキャラ、人間でやったらうぜーだろうし、「いねーよ」って思うだろうし、おもんないけど、猫だから許されちゃうんだろうな。恥ずかしい話だけど、俺『猫村』読んで、喧嘩してた友達と仲直りしました(笑)。あったかい気持ちをありがとう、猫村ねこ。